肌を重ねたなら ver.s
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最初に誘ったのは、私の方だった。
「ねぇサンジ、キス…してみる?」
こんなやり方は、卑怯だとも思ったけど
「なっ!ど、どうした?ミドリちゃん。急にそんな…」
サンジが欲しくて、欲しくて
「別に。サンジとならいいと思っただけ。」
素直になれない、可愛くない私は
「サンジは?私とは嫌?」
そうやって、歪な形だったとしても
「嫌なわけないだろ。君は魅力的だ。」
彼の特別になりたかった。
「じゃあ、しようよ。」
誰もいない昼下がり
サニー号のキッチンで
サンジと初めての口付けを交わした。
どうしようもないほどに
高鳴る鼓動を悟られないよう
慣れた素振りを装って
背の高い彼の首に手を回した。
ずっと前から、サンジのことが好きだった。
〜肌を重ねたなら ver.s〜
それから半年もの月日が経つ。
気持ちを打ち明けられないまま
サンジとはずるずると身体だけの関係が
続いている。
島に着けば
仲間たちにバレないようホテルに入り
航海が続けば、皆の目を盗んで
船内で2人になれる場所を探した。
本当の恋人同士ではない私たち。
それでも、サンジはいつもすごく優しかった。
身体の相性が良いのか
ひとつになることをすればするほど
やめられなくなる。
回数を重ねるに連れて
離れるときの虚しさが大きくなっていった。
「じゃあ、先に戻るな。ミドリちゃん。」
頭を撫でながら
お決まりの最後のキスをひとつ落として
乱れたシャツを素早く直しながら
その場を離れるサンジの背中を見送る。
この瞬間が、とても嫌い。
もっとそばにいてほしいけど
そんな望み、言えるわけがない。
だって私は、彼の恋人じゃないから。
何を思ってか、毎回サンジが残す胸元の痕。
ちゃんといつも
服で隠れる場所に残してくれるのは
きっと、彼の気遣い。
それに触れながら、大粒の涙が出た。
その時に、やっと気付いた。
私は間違ってる。
肌を重ねることで、愛されてるって錯覚する。
そんな関係は虚しいだけ。
本当は、ちゃんと気持ちを伝えて
できることなら
サンジからも愛されたい。