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真剣な顔のサンジ君が
真っ直ぐに私を見つめていた。
「ごめんな、さっきは意地悪な言い方しちまった。嬉しいんだ、おれは。」
もう片方の手首も握られて
もう、顔は逸らせない。
「君がいつもおれを見てくれていることには気づいてた。君の気持ちも、自惚れかもしれないと思ったけど、なんとなくわかってた。」
恥ずかしすぎるのに
顔はどんどん熱くなるのに
真剣な眼差しから、目を逸らせない。
「そのことに気付いたのは、いつもおれが君を見てたからだ。」
掴まれた手首はそのままに
サンジ君の顔が近付いて来て
額と額が重なる。
「好きになったのは、おれの方が先だ。」
息がかかりそうなほどの距離で
思ってもいなかった言葉を言われ
頭が真っ白になる。
「好きだよ、ミドリちゃん。」
手首が解放されて
替わりに全身を強く抱き寄せられた。
これは現実なのか、と
混乱する頭の中を一生懸命整理する。
サンジ君が私を好き?
私より先に、好きになってた?
知らないうちに、両想いだった……
やっぱりこれは夢なのかも。
固まっていると、頬に柔らかい感触。
サンジ君の唇だった。
「やめて、恥ずかし……」
「恥ずかしくねェよ。」
くすぐったい髭の感触とか
チュ、チュと繰り返す口付けが妙にリアルで
やっぱり現実なんだと思えた。
「ミドリちゃんも、好きって言ってよ。」
耳元で囁かれて
「………すき。」
言ってしまった。
恥ずかしすぎて、ギュッと目を閉じる。
「こっち向いて。」
サンジ君の大きな手に頬を包まれ
目を閉じたまま、上を向かされる。
薄っすらと目を開けると、サンジ君の顔が
近付いてきたので、もう一度慌てて目を閉じる。
唇と唇が重なった。
私の唇を啄むような
短くも長くもないキス。
初めてのキスは、煙草の味がした。