気づかれないように
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「そんなに見つめられたら、いくらおれでも照れるって。」
そう言って笑った。
「ご、ごめんっ…えっと…」
慌てて目を逸らして、言い訳を探す。
まさか、バレてた?
こっそりと見ていたつもりだったのに
さすがに正面からは、あからさますぎた?
言い訳の出てこない私に
サンジ君はイタズラに笑った。
「そんなに、おれが好き?」
「えっ……すっ…えぇ!?」
まさかまさか!
この気持ちまでバレてる!?
沸騰したように全身が熱くなり
居ても立っても居られなくなった。
3分の1ほど残っていた紅茶を一気に飲み干して
席を立つ。
「ミドリちゃん!?」
「ごちそうさま!」
逃げるようにその場を後にした。
甲板、アクアリウムバー、展望室。
どこも誰かがいて、赤くなっているであろう
顔を見られるのが恥ずかしくて
結局、後甲板まで逃げてきた。
もう陽は暮れかけている。
その薄暗さが、熱くなった顔を隠してくれそうで
少し落ち着いた。
逃げても、隠れても
どうしようもないのはわかってるけど
恥ずかしすぎて、穴があったら入りたい。
こっそり見てるつもりだったのにバレてた。
片想いも、きっとバレてる。
これから、どうサンジ君と接したらいいのだろう。
もう顔も見られそうにないのに。
「ミドリちゃん!」
サンジ君は探しに来てくれていた。
後ろから当の本人の声が聞こえて
肩をすくめ、できるだけ首を曲げて下を向く。
「ダメ!来ないで!」
「大丈夫だから。」
サンジ君がすぐ隣に来て、私の手首を掴む。
それでも、私は顔を背けたまま。
「大丈夫じゃないっ!私…恥ずかしすぎてっ…見ないで。ひとりにして?」
こんな態度を取ったら
あなたを好きだって肯定しているみたい。
でも、今はどうしても顔を上げられない。
「……ミドリ。」
突然の呼び捨てに驚いて
顔を上げてしまった。