渇いた心、潤うとき
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——キン、シュボッ
フゥーっとタバコの煙を吐く吐息が聞こえた。
サンジさんがベッドの縁に腰かけたようで
スプリングが軋む。
私は彼とは反対側を向いて布団にくるまっていた。
暫くそうしているうちに、タバコを吸い終えたのか
サンジさんが布団をめくり、隣に入る気配がした。
来る……
そう思って、心臓がうるさくなる。
もうここまで来たら後戻りはできない。
どんな抱き方をするんだろう。
その薄い唇で、細く長い指で
どんなふうに私に触れるんだろう。
知りたいような、知りたくないような。
とても怖い……
一夜だけだど割り切っていたのに
彼に、溺れてしまいそうで。
「……おやすみ。」
サラリと髪を撫でられた。
聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声だった。
それ以上、何をするわけでもなく
彼は隣に横になったようだった。
「……しないの?」
私は思わず起き上がって、彼を見下ろす。
「あァ、しないよ。」
サンジさんは枕に頭を預けたまま
イタズラな笑顔で笑った。
またその余裕の笑み。ずるい。
「起きてたんだな。」
腕を伸ばし、優しく私の髪に触れる。
でもそれ以上、触れてくることはない。
「どうして……本当に何もしないの?」
「こうして隣で寝られるだけでいい。」
「嘘!そんな男いるわけない!!」
思わず声を荒げてしまった。
するとサンジさんも起き上がり
私に向かい合って座る。
笑顔は消えていた。
「そんなことより、君のことをもっと知りたい。」