渇いた心、潤うとき
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
シャワーを浴びて肌のお手入れを念入りにする。
バスローブの中には下着も着けた。
どうせすぐに裸になるけど
自分で脱がしたいという男もいるから。
バスルームを出ると、いい香りが鼻を刺激する。
見ると、サンジさんが
ティーカップにお茶を注いでいた。
「何の香り?」
「カモミールティーがあったから煎れたんだ。飲むとよく眠れる。」
テーブルの椅子を引いて、私をそこに座らせ
両肩に優しく手を添えた。
「ゆっくり飲んで待ってて。ミドリちゃん。」
そう言い残して
サンジさんはバスルームへと消えていった。
「……おいしい…」
爽やかな甘味が口いっぱいに広がる。
目を閉じてその香りに身を委ねると
心が落ち着いた。
こんな気持ちになったのは久しぶり。
用意されたカップはひとつだけ。
自分ではなく、私だけのために
わざわざ煎れてくれたんだ。
本当に変な人。
海賊のくせに。
鼻の奥がツンとして、涙が出そう。
カモミールの風味が口に広がるように
彼の優しさが身体に染みたんだ。
こんな人は初めて。
外側から私に触れるんじゃなくて
心の奥の方を刺激してくる。
私の中の何かが、あの男は危険だと察知した。
これ以上
サンジさんと一緒いたらヤバい気がする。
元の、あの冷め切った生活に戻れなくなりそうで。
今のうちに帰ってしまおうか。
でも、こんなに良くしてもらっているのに
相手が海賊だからって、それはあんまり…
考えているうちに、気付けばカップは空っぽ。
バスルームのドアが開いた音がして
心臓が跳ね、体が強張った。
もうこれ以上、彼の優しさに触れるのが怖い。
隠れるように、ベッドに潜り込んだ。