渇いた心、潤うとき
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私は独りぼっちで
ひどく、渇いていた。
〜渇いた心、潤うとき〜
年頃になると、自分は他の子と比べて
恵まれた容姿であることを知った。
世間一般でいう”美人”に産んでくれたことだけは
母親に感謝している。
二十歳になり、大人の仲間入りをする頃
楽な生き方があることを知った。
”パパ“と呼ぶ金持ちの男の愛人となり
お金をもらう生活。
週に一、ニ度抱かれに行くだけで
住む場所も与えられ、生活に困らないほどの
お金をもらい、欲しい物は何でも買ってもらえた。
ただ男に抱かれるだけで
お金なんて好きなだけ手に入る。
なんて簡単な世の中だろう。
汗水垂らして働くなんてバカみたい。
ただ、どんなに与えられても
私はいつも孤独だった。
快楽を得ても
美味しいものを食べても
高価な服やアクセサリーを手に入れても
なぜか、満たされることは決してない。
人肌が恋しくなれば
適当にその辺の男を捕まえた。
「ミドリちゃんて言うんだ。可愛いね。」
男なんて、少し誘うだけで簡単についてくる。
「5万でどう?」
喜んで、私の体にお金を出す人もいた。
「好きだよ、ミドリ。愛してる。」
意味を持たない言葉を囁いて
触れ合っているだけで満たされた気になる。
「また連絡待ってる。」
私は必要とされている、と優越感に浸る。
ただ、盛り上がるのはほんのいっときで
終わってしまえば何も残らない。
虚しい気持ちに押しつぶされるだけ。
皆、私を抱きたがるけど
誰も私を欲しがらない。
心の中はからっぽで、渇いていた。
私はいつも、何かを欲している。