Last chance
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もう一度だけ。
もう一度、顔を見るだけだ。
そしたらもう全部忘れる。
なんて、そんな決意はすぐに揺らいだ。
もう夜遅いからって理由をつけて
家まで送っていけば、また会いにきたくなった。
ミドリが戸惑っているのがわかる。
ずっとひとりだったと聞けば
まさかまだおれのことを…なんて
都合の良い解釈をして、思わず抱き締めた。
その温もり、髪の感触
匂い、ひとまわり小さな体
何ひとつ変わっていない。
2年前と違うのは
その腕がおれの背中に回されることは
もうない、ということ。
でもおれは幸せだった。
もう一度、こうやって腕の中に
君を閉じ込める日をどんなに夢見ていたか。
それでも
人の欲ってのは留まることを知らないもんで
おれはどうしても
このまま君を連れ去りたくなってしまったんだ。
ーーーーーー
「おせェな〜」
「別に急ぐ旅でもないし、サンジ君がもう少し待つって言うんだから、待ってましょうよ。」
「悪いな、みんな。」
島を出る日が来た。
仲間たちには全てを話してあった。
みんなは、おれがそうしたいのならと
ミドリを迎え入れることを承諾してくれた。
ルフィにいたっては
コックがもうひとり増えることに喜んでいた。
出航準備を終えてから
もう何本煙草を吸ったかわからない。
甲板では落ち着かず、思わず船から降りた。
ミドリはもう
おれとやり直す気はないのかもしれない。
それでも淡い期待を捨て切ることができず
街の方向へ目を見張る。
次の煙草に火をつけようと
口に咥えた時だった。
こちらに近づいてくる人影が見えた。
大きな荷物を抱えたミドリだった。
見つけた途端、開いた口から煙草が落ちたが
そんなことは気にも留めず、思わず駆け寄って
おれは思い切り彼女を抱き締めた。
「来ちゃった。」
おれの腕の中で
照れたようにミドリが笑った。
ーーーーーー
仲間をひとり増やし、サニー号は出航した。
もともと人懐こい性格のミドリは
仲間たちに歓迎された。
みんなに囲まれるミドリを見て
思わず口元がゆるむ。
「ほらね、サンジさん。」
「なんだ?ブルック。」
「来たでしょ?幸せにするチャンス。」
「あァ……今度こそ、な。」
…fin