Last chance
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「サンジ…ダメだよ……」
その甘い誘惑に負けそうになるのを堪え
力いっぱいサンジの胸を押し返す。
ピクリともしない。
「わかってる。でも……」
一層強く腕に力が込められ
「会いたかった。」
耳元で、かすれたような小さな声で
サンジがつぶやいた。
「自分から離れたくせにな……会いたくて仕方なかったんだ。ずっと。」
「…っ……ずるいっ……」
私も会いたかった。
ずっとずっと、毎日毎日
あなたが恋しかった。
後先考えず、そう言えてしまえたら
どんなにいいだろう。
「どうせまた離れていっちゃうくせに……」
素直にサンジの背中へと回せなかった腕で
彼の胸を叩いた。
ずっと堪えていた涙が溢れた。
サンジは胸を叩く私の手を
その大きな両手で優しく包むと
そのまま頭を下げ、額に当てた。
「ごめん……」
サンジも泣き出しそうな
弱々しい声だった。
「何度も忘れようとした。忘れたつもりでいた。でも、こうやって目の前にしちまうと……ダメだ。まだ好きだ。」
真っ直ぐなサンジの言葉に
涙が溢れて止まらなかった。
「一緒に来ないか?海へ。」
「……え…?」
「もしも…ミドリもおれと同じ気持ちでいてくれてるなら……来て欲しいんだ。」
「でも…私が海賊なんて……」
「おれが守る。仲間たちも強いヤツらばかりだから大丈夫だ。何より……おれがそばにいてほしいんだ。」
「………。」
「3日後に船を出す。西の岩場の海岸だ。」
サンジは私の手を離すと一歩下がり
真っ直ぐに私を見つめる。
「待ってる。」
最後に一言そう告げて行ってしまった。
サンジからの誘いに、何も答えられなかった。
私が海へ?料理しか取り柄のない私が?
でも海へ出れば
サンジと共に生きていける。
今の生活を捨てることにはなるけど
大好きな人のそばで。
今の平凡で安全な暮らしを続けるか。
危険を覚悟でサンジと一緒に行くか。
3日で答えを出さなければ。