Last chance
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波は落ち着き、空も快晴。
ほどよく風に吹かれ
新世界の海を進むサニー号。
のどかな甲板の上。
夕食の仕込みを終え、一服しに外に出れば
ブルックと話が盛り上がり
気付けば小一時間話し込んでいた。
「サンジさんのような人が、女性を幸せにするんでしょうね。」
おもむろにブルックがそんなことを口にして
おれは空に向かって煙を吐く。
「そう思うか。」
「ええ。とても。」
「買い被りだブルック……おれにも一人、泣かせた女がいる。」
そのまま青い空を見上げる。
船の上から見る空は
いつも視界いっぱいに広がっていて
見上げる度に君を想う。
おれが見上げる空と、君を見下ろす空は
必ず繋がっているから。
今もまだ、おれと君は
繋がっている気がして。
〜Last chance〜
——3年前。
まだバラティエで働いていたときだ。
君と出会った。
「野菜はここよりも、あの奥のお店の方が鮮度がいいですよ。」
近くの島へ買い出しに来たが
なかなか気にいる食材に出会えず
野菜を手に眉間に皺を寄せているおれに
君から話しかけてくれた。
いたずらに笑いながら
コソコソと小声で話しかけてくれた姿が
可愛くて印象的だった。
「そうなのか。ありがとう。君は?」
「ミドリです。ここの近くのお店でコックをしてます。あなたも…コックさんですよね?」
「よくわかったな。」
「食材を選ぶ目つきと、あと手を見ればわかります。」
得意げに君が笑った。
今思えば、おれは初めて見るその笑顔に
完全に一目惚れだった。