スキとキライと。【後編】
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それから3日間船を進めて
ある島に到着した。
大きな港町の栄えた島だ。
久しぶりの島に全員が上陸したがったが
入り江には他にも海賊船があり
念のため船番を2人残すことになった。
全員でくじを引く。
俺の引いたくじには見事に赤い印。
「クソ、俺だ。まぁ仕込みもあるし、ちょうどいいが。」
「船番はサンジだ!もうひとりは?」
「私。」
ものすごく嫌そうな顔をして
ミドリちゃんが手を挙げた。
俺はラッキーなようなアンラッキーなような…
「別に俺ひとりでもいいが…」
「大丈夫。仕込みがあるんでしょ?私も残る。」
気を使ったつもりだったが、意外な返事が返ってきた。
「じゃあサンジくん!くれぐれもミドリに手を出さないように!!」
「…はい……」
皆それぞれ船を降りていった。
ごめん、ナミさん…
実はもう出しちまったんだ…
なんて口が裂けても言えない。
甲板でミドリちゃんと2人
気まずい空気が流れる。
「あの…ミドリちゃん——」
「じゃあ私は展望室にいるから。」
話しかければ目も合わさずに遮られる。
俺はとっさに頭を下げた。
「ごめん!この通りだ!本当に悪かった!!」
ミドリちゃんは展望室へ向かう足を止めた。
「あんなことしちまって、ものすごく反省した。嫌われて当然だ。」
「どうして……」
「……?」
ミドリちゃんは足早に戻ってくると
俺の目の前で立ち止まる。
「どうしてキスなんかしたの!?」
「ごめん…つい、魔が刺したんだ……」
「初めてだったのよ。」
よく見るとミドリちゃんは頬を赤く染めている。
「初めての相手があんたなんて最低!」
「そうだよな。本当にごめん……」
「最低なのにっ…あんたのせいでっ、あんたのことばっかり考えちゃう!大っ嫌いなのにっ…あのキスのことばっかり……」
「ミドリちゃん……」
「頭から離れないの!」
それって……
「もう二度と私に近付かないで!!」
そう言い残してミドリちゃんは展望室へ走って行ってしまった。
俺は恥ずかしさに熱くなった顔を掌で覆う。
「それ、ほとんど告白だ……」
どうやら俺は諦めなくていいようだ。