スキとキライと。【前編】
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
この気持ちの正体を知りたくて
私は思い切って、サンジに近付いてみることにした。
夕方、いつもサンジが夕食の仕込みをしている時間に、ダイニングへ行ってみる。
思った通り、サンジはキッチンにいた。
「ミドリちゃん。どうした?何か飲むか?」
サンジは少し驚きながらも、嬉しそうに笑っていた。
「ココアが飲みたくて。」
「任せて。」
「いい。自分で作る。」
「そのくらいやらせてよ。俺はこの船のコックだよ?」
サンジは苦笑しながらミルクを出して温め始める。
「……ありがと。」
私はカウンターではなくテーブルに着いた。
その様子を見て、サンジはまた笑っていた。
「珍しいね。ミドリちゃんから俺に会いに来てくれるなんて。」
「ココアが飲みたかっただけだってば。」
「そうか。だいぶ慣れたみたいだな、この船に。」
「…まぁ1ヶ月もいればね。」
「このまま俺らの仲間になっちまえばいいのに。」
「また……」
「ん?」
「ルフィにもチョッパーにも言われた。他の皆も誘ってくる。私はならないって言ってるのに。」
サンジはココアを持ってきてテーブルに置いてくれた。
「……ここの皆が嫌いか?」
「……嫌いじゃないけど……」
「けど?」
ココアを一口飲む。
私好みの甘い味付け。
サンジがさりげなく隣に座ってきたので
私は反対側へ寄って距離を取る。
「私は、ずっとひとりで生きてきた。なのにあんたたちが当たり前のように輪の中に入れてくれるから……正直、どうしたらいいのかわからない。」
「素直に甘えればいいんじゃねえか?」
「そんな簡単に割り切れない。でも、どんどん皆のペースに巻き込まれて、迷惑なはずなのになんか拒めなくて、ちょっと楽しかったりして……」
どうして私はサンジにこんなことを話しているんだろう。
ずっと悩んでたことを吐き出したら、なんだか止まらなくなって
なぜか目頭も熱くなってくる。
「九蛇に入れてもらうのを目的に海に出たはずなのに、このままでもいいかもって思い始めてる自分が許せなくて…っ」
サンジは黙って聞いてくれる。
「ここの皆のことが好きになってきちゃって……それが悔しいっ……」
「……それって俺も入ってる?」
「へ……?」
急にサンジの顔が目の前にきて
唇に柔らかい感触。
キスをされた。
反射的にサンジを押し除けて、席を立つ。
「サンジのバカ!大っ嫌い!!」
そのまま女部屋へ走って逃げた。
心臓が爆発しそうなほどドキドキして
顔は沸騰しそうなほど熱くなった。
サンジといると危険だ。
この男の一挙一動に動揺して
やっぱりこんなの自分じゃない。
あぁ
もっとココア飲みたかった。
〜後編へ続く〜