スキとキライと。【前編】
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
〜side ミドリ〜
私はずっとひとりだった。
母を亡くして、父に捨てられてから
毎日生きていくのに必死だった。
ハンコックさんや、九蛇の皆にはたくさんお世話になったけど
別れた後はまたひとりになって生き抜いてきた。
18歳になって、子どもの頃に比べれば楽に暮らせるようになって、このままでいいかなと思い始めていた。
それなのに無謀にも海へ出たのは
やっぱり心を許し合える仲間が欲しかったんだと思う。
島へ来た小さな海賊の一団から船を奪って
とりあえず海へ出た。
航海の仕方はある程度勉強してはいたけど、それは知識だけの問題で
実際の海は心が折れそうになるほど恐ろしいものだった。
嵐の中、船が壊れながらもやっとの思いで辿り着いた島では、山賊に囲まれた。
あんな奴ら怖くもなんともなかったけど、初めての嵐に船が直せるかも不安で、心が少し弱っていた私は、気を抜いてしまったのかもしれない。
両腕を掴まれて動けなくなった。
このままこの男たちに犯されるんだ。
そう諦めかけたとき、サンジが現れた。
男なんて皆同じだと思っていた。
女を性の対象としか見ていないし、無神経でガサツな奴らばっかりだと。
でも、サンジは違った。
ひとりの私を心の底から心配してくれているのがわかった。
男からこんなふうに優しくされたのは生まれて初めてだったから
正直、サンジとの向き合い方がわからない。
そうこうしているうちに、私は結局
麦わらの一味にお世話になることになった。
でも、あまり馴れ合う気はない。
心の拠り所はナミとロビン
それと可愛いチョッパーだけ。
こんな男だらけの一味に私が馴染めるわけがない。
と、思っていたのに……
ーーーーーー
ある真夏のような暑さの日。
「おーいミドリ!お前も入れよ!」
甲板でくつろいでいれば、船長のルフィがプールから笑顔で私を呼ぶ。
「入らない。」
「なんでだよー!!」
プールには、ウソップ、チョッパー、ブルック、フランキーも入っていた。
確かに気持ち良さそうだけど……
「入ればいいじゃない。水着ないなら貸すわよ?」
振り返れば水着に着替えたナミとロビン。
「男とプールなんて無理だってば!」
2人を振り切って私は逃げるようにダイニングへ行く。
「ミドリちゃん、プール入らないのか?」
そっか。ここにはいつも
最も苦手なこの男がいるんだった。
「気分じゃないの。」
「残念だなぁ。ミドリちゃんの水着姿を見るチャンスだったのに。」
いつものように睨んでやる。
「悪い悪い。そういうの嫌いだったな。」
言いながらサンジはテーブルにカキ氷を置いた。
「俺は行くから、ゆっくり食べなよ。」
他の皆のカキ氷をトレイに乗せて
甲板へと出て行った。
カキ氷を一口食べる。
イチゴのシロップがほんのりと甘くて
熱を持った体に染み込んでいく。
すごく美味しい。
悔しいから絶対言わないけど。