スキとキライと。【前編】
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「じゃあしばらくこの船に乗ることになったミドリに乾杯だ!」
「「「乾杯!!」」」
ルフィの号令を合図に、皆酒を高く上げ
各々飲んだり食べたりを始める。
ミドリちゃんの両隣はナミさんとロビンちゃんがしっかりガードしていたので、俺はさりげなく正面の席へ座る。
「味はどうかな?」
空腹だったようで、俺の作った料理をおとなしく食べてくれていた。
「…おいしい。」
「それはよかった。」
目を合わせてもくれなかったが
その一言だけでなんだか少し認めてもらえたような気がして、思った以上に嬉しくなった。
「サンジくん、それ以上近付くの禁止よ。」
「わかってるよ、ナミさん。」
「あんたたちも!ミドリは男が苦手なんだから、私とロビン、チョッパー以外は必要以上に近付かないように!」
男どもはそれぞれ適当に返事をした。
「もう。ちゃんとわかってんのかしら。」
「ありがとう、ナミ。」
「何かあったらすぐ私に言いなさいよ。特にこのサンジくんは要注意よ。」
「ひどいなナミさん。」
苦笑しているとミドリちゃんに正面から睨まれる。
「ミドリちゃん、長く一緒に生活するんだ。少しずつでいいから俺にも心を開いていってくれたら嬉しいな。」
負けじと笑顔を向けると、ミドリちゃんは視線を料理に落とし、再び食べ始めた。
「……まぁ努力はする。」
「ありがとう。」
ナミさんたちとのやりとりを見ていると、本当は素直な彼女の性格が見て取れる。
だが、男嫌いをこじらせすぎて、意地を張っている部分もあると思う。
きっと彼女は、こんなに近くで男と関わるのが初めてなのかもしれない。
接し方もわからず、とまどいもあるんだろう。
そんな彼女の葛藤を思うと
ものすごく愛おしい。
髪を撫でたくなる衝動に駆られながらも、そこはぐっと我慢した。
少しずつ近付けるようアプローチしていくしかない。
せめて「あんた」ではなく、名前で呼んでもらえるように。
ーーーーーー
その日から、ミドリちゃんを一味に加えた旅が始まった。
3日間停泊した後、島から出航した。
結局ミドリちゃんの船は無理に修理せず、使えそうな機材だけ残して廃船となった。
その辺の海賊から奪ったから特に思い入れもない、とミドリちゃんは言っていた。