スキとキライと。【前編】
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
サニー号に着くと
甲板には誰もいなかった。
彼女は疑いの目で俺を睨む。
「ちょっと、誰もいないじゃん。」
「この天気だから皆部屋に入ってるんだろ。こっちだ。」
ダイニングへ行くと
島へ行ったルフィと、見張りをしているマリモ以外の全員が集まっていた。
「サンジ!戻ったのか!その子は?」
「おうウソップ、今説明する。フランキーは…」
「オウここだ!サンジおめェ、食料探すって出てったのに可愛らしい嬢ちゃん捕まえてきたじゃねェか。」
「彼女の船がこの嵐でやられたらしい。すぐに見てやってくれねェか?」
「アウ!お安い御用だ。」
「フランキーが船を見てくれる。うちの船大工だ。」
俺の後ろから様子を伺う彼女に言えば
フランキーを見て目を丸くした。
「……何このロボット。ズボン履いてないし、変態?」
「んな褒められると照れるぜ。」
「まぁロボットで変態だけど…腕は確かだ。君の船の場所は?」
「ここから海岸沿いに西へ。10分くらいで着くと思うけど。」
「よし!ちょっくら見てくる。動かせそうならサニーの横に着けるが、いいか?」
彼女が頷くと、フランキーは張り切って船を飛び出していった。
「あんたびしょ濡れじゃない。シャワー浴びてきなさいよ。私の服貸してあげる。」
「…ありがとう。」
ナミさんが話しかけると
初めて笑顔を見せてくれた。
可愛い。
まだ、あどけなさが残る笑顔だ。
「サンジくんは?次でいい?」
「あぁ、俺は着替えてくるからいいよ。その子をよろしくな、ナミさん。」
俺と目が合った瞬間、彼女の笑顔は消えたけど、俺は負けずに笑顔で手を振る。
なぜ初対面なのにここまで嫌われているのだろうか。
聞きたいことは山ほどあるが、結局名前も教えてもらえないまま、彼女はナミさんに連れられて大浴場へ向かった。
ーーーーーー
俺は着替えを済ませ、濡れた髪を拭きながらダイニングに戻る。
「なぁなぁサンジ。あの子なんなんだ?島にいたのか?」
俺が戻ると、ウソップが待ってましたとばかりにカウンターに座る。
隣にブルックとチョッパーもやってきた。
俺はタバコに火をつけ、全員分の飲み物を用意しながら答える。
「島で山賊のような男たちに囲まれてるところを助けたんだ。詳しく教えてくれないんだが、ひとりで旅をしているようだ。」
「ひとりで?」
「あんないたいけな女性がですか?心配ですね。」
「あぁ。だが彼女は自分のことを強いと言っていた。俺よりも。」
「ええっ!サンジより強ェのか。」
チョッパーは出されたジュースを飲みながら驚いていた。
「山賊たちも一人でやれたのに、余計なことするなって怒られたよ。」
「まぁ仮にそうだとしても、助けてやったのにお前ずいぶん嫌われてるみたいだな、サンジ。」
「…サンジさん、あなたまさか…あの子に変なことしたんじゃ…」
「してねェよ。なぜか最初っから嫌われてて、名前も教えてもらえない。」
ウソップとブルックにコーヒーを出し、
ひとりテーブルに座って本を読んでいるロビンちゃんにも持っていく。
「ありがと。もしかしたら彼女、サンジのことが嫌いなんじゃなくて、男の人全般が嫌いなのかもしれないわ。」
「男嫌い?」
「ここに入って来た時ずっと難しい顔していたけど、ナミが話しかけた瞬間笑顔になった。きっと女性がいて安心したのよ。」
「なるほどな…」
「もしかしたらナミや私には色々話してくれるかもしれない。私たちに任せてもらえる?」
「あぁ。ありがとうロビンちゃん。助かるよ。」