片道の恋
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「サンジくん!」
しばらくして
ミドリちゃんがやってきた。
「ミドリちゃん……」
「何であんなことしたの?」
口を尖らせて
少し怒ってるようだ。
「悪かったな…つい頭にきちまって……」
「ルフィに何言ったの?」
「……ミドリちゃんをこれ以上傷付けたら許さないってな。」
「私がいつ傷付いたのよ。余計なことしないでっ……」
「たしかに出過ぎた真似だった。」
フゥーっとタバコの煙を吐き出す。
「でも、その気もねぇのに冗談であんなこと言われて抱き寄せられて、平気だったのか?」
「……なんでもないよ、あんなの…」
「俺が止めなきゃ、ミドリちゃんの気持ちをみんなの前で言うとこだ。それでも良かったのか?」
「………。」
「平気なわけねぇよな……俺の前でくらいは無理するな……」
タバコを持つのとは反対の手で
頭を撫でると
ミドリちゃんは両手で顔を覆って涙した。
「……うぅっ…」
「……頼むから…俺にしてくれ。俺なら絶対に君を泣かせたりしない。」
そのまま思わず君を抱き締めた。
「必ず幸せにするよ。」
柔らかい感触と、いい香りに
身体の中心が熱くなる。
鼓動が速くなる。
俺の腕の中にすっぽりとおさまるのに
どうしても捕まえることはできない。
君は俺の胸板を押して距離を取った。
「……何度もね、考えたんだ。サンジくんを好きになれたら楽なのに、って。このままサンジくんの優しさに逃げてしまおうか、って思ったこともある。でも……どうしても頭から消えないの…ルフィが。」
俺のシャツを両手で弱々しく掴み
目からは次々に涙が溢れているのに
俺にはどうしてやることもできないのか。
「苦しいよ…サンジくん……」
「ミドリちゃん……」
「苦しいけど……私はこの気持ちを抱えていくって決めたの。」
「……わかるよ…」
「………?」
「どうしてもひとりの人が好きで、他とは比べものにならなくて、やめられない気持ち、わかるよ。俺も今、そうだからさ。」
泣いてる君に
せめて俺は笑ってあげようと笑顔を向けると
照れたように、君も笑った。
「がんばれ、ミドリちゃん。」
「……ありがとう、サンジくん。」
顔を手でこすって涙を拭うと
吹っ切れたように、またあのいつもの笑顔で俺に微笑む。
「ほんと、サンジくんを好きになればよかったな。」
無邪気な笑顔に、また胸が締め付けられる。
「本当に辛くなったら、いつでも吐き出しに来なよ。」
「ありがとう…でも、もう大丈夫。私先に戻るね。みんなも心配してるよ?ルフィは寝ちゃったけど……明日ちゃんと仲直りしてね?」
「あぁ、わかってるよ。」
手を振って、いつの間にか短くなったタバコを最後にひと吸いする。
人の想いってのは
簡単に変えられるようなものじゃねぇんだ。
ミドリちゃんはそれを一番よく分かってる。
同じように、俺の想いも変わらねぇ。
俺もずっと
この気持ちを抱えて生きていく。
君が好きだ
どうしようもなく 君が好きだ
他のレディー達とは比べ物にならない
君が誰かを想っていても
俺は君のことだけをいつも想っている
…fin