あなたの手
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「なぁ、ミドリちゃん。……ミドリちゃん?」
サンジは料理の仕込みに集中していて
気付けば声がしなくなったミドリの方を見ると、飲み終えたカップの横で、自分の腕を枕にして眠っていた。
「……天使の寝顔だ。」
このまま女部屋へ運んであげるべきなのだが
まだ鍋には火がついているのでキッチンを離れるわけにはいかない。
と、それは言い訳で
もう少しこの寝顔を自分だけのものにしたいと考えたサンジは、鍋の火を弱くするとブランケットを出し、ミドリの肩にそっとかけてやった。
そして隣の椅子に座る。
「いつも遅くまで付き合わせて悪いな。」
起こさないようにそっとミドリの髪を撫でる。
ーーーーーー
いつの間にか私は眠っていたみたい。
誰かに優しく髪を撫でられて起きたけど
それが気持ち良くて
動かず、目も開けずにいる。
温かくて大きな掌の感触と
ほんのりと鼻に入るタバコの香りから
相手が誰なのかはすぐにわかった。
いつまで撫で続けてくれるんだろう…
髪の流れに添うように、頭のてっぺんから後頭部までを何度も長い指が通る。
気持ちいい。
目を開けるべきなんだろうけど
この優しい手に少しでも長く触れていてほしくて
私は寝てるフリをした。
サンジさん、ごめんなさい。
もう少しこのまま。
そう思ったとたん、手が離れていった。
終わってしまった、と思い目を開けようとしたら
今度は顔にかかっていた横の髪を触られて
そのまま耳にかけられる。
くすぐったい。
これはさすがに起きちゃうよ、サンジさん。
でも、私は寝たフリを続けるけど。
指はそのまま私の耳たぶを優しく包む。
ふわふわと挟むように何度かさすられてから
顎のラインを下りてきて
唇に触れられた。
下唇を右から左になぞってきて
さすがに恥ずかしくなり目を開ける。
思いの外サンジさんの顔は近くにあって
思いっきり目が合ってしまった。
その瞬間手は唇から離れる。
「…おはよう。ミドリちゃん。」
そのとっても優しい笑顔に
私も自然と目尻が下がる。