あなたの手
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あなたの手
私は海賊見習いとして
麦わらの一味にお世話になっている。
仕事は主に雑用。
船内の掃除や片付け、洗濯、調理の手伝い、見張り番。
最近は船の操舵も少し教えてもらっている。
優しくて気の良い皆さんにいつも助けられながら、楽しい毎日を送っている。
今はキッチンで夕食の準備中。
私はこの調理の手伝いと、片付けの時間が大好き。
なぜなら、サンジさんと一緒にいられるから。
「いつもミドリちゃんが手伝ってくれて助かるよ。少人数とはいえ、よく食うやつらだからさ。」
「私なんかで役に立てるなら嬉しいです。料理の勉強にもなるし。」
この時間は私にとって特別で
幸せな時間。
サンジさんの作る料理は本当にとても美味しくて
体も強くなる気がするし、食べるだけで元気が出てくる。
そんな料理を簡単に作ってしまう彼の両手は
調理の時に飛び散る油による火傷痕がたくさん。
でも私はそんなサンジさんの手が好き。
「よし、完成だ。」
「今日も美味しそうです。私皆さん呼んできますね。」
「あぁ、ありがとう。」
夕食が出来たと伝えれば
船長のルフィさんを筆頭に続々とダイニングに集まってくる仲間たち。
この人たちと食事を楽しむひとときも
私は大好き。
ただ皆の食事中も、サンジさんはデザートの準備や、おかわりをよそったりといつも忙しそうで、あまりゆっくり食べている姿を見たことがない。
今日もスープが大人気で、おかわりをよそうので忙しそうにしているのを見て思わず席を立つ。
「サンジさん、皆さんのスープ、私やりますよ。」
「いいんだよミドリちゃん。これは俺の仕事だから、ミドリちゃんは今くらいゆっくり座って食べてて。」
私がゆっくり食べられるようにという優しさもあるのだろうけど
サンジさんはその忙しい状況を楽しんでいるようにも見える。
好きな仕事を無理に奪うのも気が引けたので甘えさせてもらうことにして、私は再び席についた。
本当に彼は料理が大好きで
自分の作ったものを大好きな仲間たちに美味しく食べてもらうことに、生きがいを感じているんだ。
その仲間の中に私も入れてもらっていることがすごく嬉しい。
誰よりも優しくて
面倒見も良くて
ちょっと女好きがたまにキズだけど
男らしさもある本当に素敵な人。
ただの見習いが一味の一人に
こんな特別な気持ちを持つのは高望みかもしれないけれど
私はサンジさんが大好きで
心の底から惚れている。
そのうちサンジさんも同じ気持ちになってくれるといいな。