happiness
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ピンポーン——
お昼頃、部屋のインターホンが鳴る。
「はーい!」
来た!
本当に来てくれた!
ドアを開けると目の前にあの男性。
一度しか会っていないし
この人のことはほとんどわからないけど
私はすでに恋に落ちていた。
「具合はどうだ?」
「あの、店長から全て聞きました。昨日は助けていただいて、ありがとうございます!今日も…来てくれて本当に嬉しいです!」
深々と頭を下げる。
「元気そうでよかった。頭を上げて。名前はミドリちゃんだよな?」
「はい!あなたは…サンジさん、ですよね。」
「あぁ。ミドリちゃん、誕生日おめでとう。」
サンジさんは花束をくれた。
「すごい!花束なんてもらうの初めて!」
こんなふうにスマートに女の子を喜ばせてくれるなんて、ますます素敵な人だな。
「どうぞ。狭いけど。」
「あァ、お邪魔するよ。」
「なんだか変な感じですね。一昨日は店員とお客さんだったのに。」
「そうだな。不思議だ。」
顔を合わせて笑い合う。
ドキドキするけど居心地が良い。
サンジさんの笑顔に胸が高鳴る。
こんな気持ちは生まれて初めて。
「あの、お腹空いてます?私、何か作ります!」
「いや、いい。キッチンを借りていいか?」
「え、ええ。いいですけど…」
「おれはコックなんだ。今日はご馳走させてくれ。」
荷物が多いと思ったら
サンジさんが取り出したのは
全て下ごしらえをしてきた食材だった。
「コックさんが私に調理してくれるなんて…すごく贅沢だな。」
「いつもは仲間たちに作ってる。でも今日は君のためだ。」
手際良く調理していく姿は
本当に格好良くて、ついつい見惚れてしまう。
でもある思いが心を過ぎる。
この人は旅人。
すぐにこの島からいなくなってしまう…
好きになってはいけない人。
彼の後ろ姿を前に、胸がズキンと傷んだ。