初恋
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片腕でその背を抱き寄せて
空いた手をその柔らかい頬に添えると
ミドリちゃんは真っ赤になった顔を上げた。
きっとおれも同じように真っ赤な顔をして
2人とも何も言えないまま、視線だけが交差する。
恥ずかしくなったのか、ミドリちゃんが
俯きがちに目を逸らし
その仕草にまた、身体が熱くなる。
抱き締める腕に力を込めて
完全に2人の身体が密着した。
これ以上はやばい。
頭では十分わかっているつもりでも
身体は止められず、手のひらを上下にさすって
小さな背の感触を堪能する。
頬に添えていた手を首の後ろへ回し
背に回していた手をそのまま上へと滑らせ
ミドリちゃんの頭をおれの胸に押し付けた。
一切抵抗もないから
彼女をおれのものにできたような高揚感で
さらに全身が熱くなる。
鼓動はどんどん速くなり
耳に心臓がついているんじゃないかと思うくらい
ドクドクとうるさい。
「ミドリちゃん……」
確かめるように名前を呼ぶと
おれの腕の中で固まったように動かなくなる
彼女が、ものすごく愛おしくなる。
好きで、好きすぎて、制御がきかない。
こんなのは今までに経験がなく
ここからどうしたらいいのかもわからない。
高まる自分の気持ちを持て余して
恥ずかしいくらいにずっとドキドキしている。
それはまるで
そうだ、初めての恋を知った少年のような……
初めての…恋……?
まさか、そんな。
今までに、数えきれないほどしてきたはずだ。
麗しいレディを見て胸が高鳴ったし
素晴らしい笑顔を向けられただけで全身が悶えた。
好意を持ってもらえるように
どんなときでも紳士的に振る舞ってきた。
でも本当に好きになったら
紳士的に…なんて、そんな余裕はない。
こんなにも、自分の欲望に
制御が効かなくなることなんてなかった。
「……これが、恋か…」
自分の中で腑に落ちた瞬間
無意識に口に出てしまった。
そのことに気づいたのは
ミドリちゃんが驚いておれを見上げたから。
その真っ赤な顔につられて
おれもまた、顔が熱くなる。
頬を染めたままの笑顔を見せてくれたあと
自分からおれの胸に顔を押し付けて
その腕を背中に回してくれた。
「うん。これが、恋だね。」
腕の中で、きみが嬉しそうに笑って
おれはもう一度強く、その身体を抱き締めた。
…fin