煙草とジャスミン
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次の日。
「おはようミドリちゃん。よく眠れた?」
いつものように爽やかにキッチンに立ち
笑顔を向けてくれる。
「うん。もうぐっすり。」
「それはよかった。」
嘘だった。
本当はよく眠れなかった。
「メシもうできるから。少し待っててな。」
サンジ君の目の前のカウンターに腰掛けると
私の大好きなジャスミン茶を淹れて
出してくれる。
いつもの朝食前の一杯を満喫しながら
調理を続けるサンジ君をこっそりと見た。
昨日とは違うシャツだ。
調理中のためか、袖は捲っている。
そのまま手に視線をやると、顔が熱くなった。
昨日、私の背中をギュッと抱いた手。
はぁ……
手を見ただけでこんなにも鼓動が速くなるなんて
もう重症だ。
ーーーーーーーー
「気圧が下がってきた。ひと雨来そうだわ。」
午後のひとときを各々過ごしているとき
甲板に出てきたナミが空を見上げながら
ポツリとそう呟いた。
「あ!洗濯物!私、入れてくるよ!」
「ありがとう!手伝う?」
「平気!」
午前中は天気が良かったので
溜まりつつあった洗濯物を洗い
干していたことを思い出した。
きっともう乾いている頃だ。
次々と乾いた洗濯物をカゴへと収めていく。
と、一枚の服が目に留まった。
昨日サンジ君が着ていたシャツ。
風にゆらゆらと揺れている。
ドキッとした。
いやいや、ただのシャツに何ドキッとしてんだか。
ブンブンと頭を振って、取り込もうと
手を伸ばすけど、すぐにその手は止まった。
「………」
なんとなく、周りを確認する。
誰もいない。
シャツをハンガーから外して両手で持った。
この触り心地、昨日と同じサラサラのシャツ。
もう一回周りを見回す。
やっぱり誰もいないことを確認して
シャツに顔を押し付けた。
ハァっと息を吐いた後、スーーーーッと
できるだけ長く、鼻から息を吸い込む。
私はいつからこんなに変態になってしまったのか。
自分で自分の行動に引いたけど
やらずにはいられなかった。
石鹸とおひさまの香りがした。
彼のタバコの香りはすっかり消えていて
急に罪悪感を感じる。
「……ごめんなさい。」
シャツに向かって謝って洗濯カゴへと放り込んだ。