煙草とジャスミン
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私が好きになってしまった男は
いわゆる女好きで
女性を見ればすぐに鼻の下を伸ばす。
誰よりも優しくて
誰よりもたくさんの愛を持っていて
その愛を惜しみなく、あちこちにばら撒いて
それなのに、こちらからの愛には
全く気付いてくれていない。
そんな人。
〜煙草とジャスミン〜
「相手する必要ないわ!クー・ド・バーストで抜けるわよ!急いで!!」
「アウ!任せとけェ!!」
平和に航海を続けていたと思ったら
突然現れた軍艦に船内は急に慌ただしくなった。
海軍が容赦なく大砲を撃ってくるので
サニー号は大揺れ。
ルフィとゾロが船への直撃をうまく防ぎながら
ウソップが大砲で応戦し
フランキーは船を飛ばす準備へ。
チョッパーとブルックはそれに備えて
帆を畳んでくれていた。
そして、この男は……
「危険だ!ナミさん!さァ、すぐにおれの腕の中に!!」
ナミに向かって両腕を広げるも
ナミはいつものようにスルーして
クー・ド・バーストの準備完了を待つ。
「ロビンちゃん!おれの胸に飛び込むんだ!」
続いてロビンに向かって両腕を広げるが
ロビンはメインマストの柱に
たくさんの腕でしがみついていて
「間に合ってるわ」と冷静に断った。
いつもの光景。いつもの反応。
どうせ、次は私のところに来る。
「ミドリちゃん!」
…ほらね。
「おれの腕の中に!さァ早く!!」
本当にこの男は…私の気持ちも知らないで……
私だけに、優しくしてくれたらいいのに。
私だけに、腕を広げてくれたらいいのに。
私だけに、その愛をくれたらいいのに。
いつもならナミやロビンと同じように
スルーするところを
今日は少しサンジ君の態度にイラついて
その腕の中に飛び込んで、抱きついてみた。
「なっ……」
「えぇ!?」
「ちょっと、ミドリ!?」
私の行動に驚いた周りの皆の声が聞こえる。
けど、一番驚いているのは
目の前のサンジ君だった。
「ミドリ、ちゃん…?」
自分が来いと言ったクセに
本当にこうなるとは思いもしなかったようで
顔を赤くして、目を見開いて、私を見下ろして
どうしたらいいのかわからないのか
その両腕は広げたまま行き場を失っていた。
私の方も、耳まで真っ赤になっているかも。
気持ちがバレてしまうかも。
それでもいい。
「サンジ君が来いって言ったんじゃん。」
何てことないフリをして、さらに強く抱き着いて
熱くなった顔を隠すように
サンジ君のシャツに押し付けた。
このくらいすれば
私だけを意識してくれるだろうか……
私だけに、その愛をくれるだろうか……
ガタッと大きく船が揺れ、足元がフラつき
咄嗟にサンジ君が私の背を抱き寄せた。
力強い温もりに、体が固まる。
2人の体は完全に密着した。