彼女にしてください。
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数日が経って
サニー号は今、冬島に到着している。
季節は真冬。まさに雪国。
一面真っ白な銀世界。
人が住んでいるような街は見つからず
動物もいなければ草木ももちろん生えていない。
船を拠点に情報を求めて
交代で見回りに出る毎日だった。
「ったくよォ〜…いつになったらログが貯まるんだ。」
「最初は綺麗な雪景色に感動したけど、こう毎日だと暖かい夏が恋しくなるね。」
この日、私はウソップと船番をしながら
甲板の雪かきに追われていた。
毎日毎日雪の中。
どんなに着込んでも寒さに耐えられず
気付けば鼻水が垂れている。
「っクシュンッ!」
「おい、大丈夫か?寒けりゃ中に入ってろよ。」
「大丈夫だよ。この調子で降り続いてたらサニーが沈んじゃうし。」
「無理すんなよ?」
手足は震えるし、ずっと悪寒がしてる。
こうして体を動かしていれば
温まってくるかと思ってたけど
だんだん頭もボーッとしてきていた。
でもこの量の雪
ウソップひとりじゃ間に合わない。
余計なことは考えずに
ひたすらスコップいっぱいの雪を
海へ放り投げる作業に没頭していた。
「あ、ゾロ〜!!」
ふと船の外を見たウソップが嬉しそうに
声を上げて、私は大きく反応する。
「あァ?なんだ戻ってきちまったのか…」
姿は見えないけど
下から聞こえた声は確かにゾロのもので
私は呼吸を整えて心を落ち着ける。
あれから私はゾロと
食事時以外は極力会わないようにしていたし
ほとんど会話を交わしていなかった。
それは”押してダメなら引いてみろ作戦”ではなく
ゾロへの恋愛感情を終わらせようと決意した結果だった。
「お前ひとりか!?ルフィ達はどうした!!」
「一緒に歩いてたはずなんだが、どっか行っちまった。世話が焼ける。」
「それお前が逸れたんだろ!!」
「まァそのうち戻ってくるだろ。」
ウソップと話しながら甲板へ上がってきたゾロと
パチリと目と目が合う。
「あ、おかえり〜。寒いね〜、今日も。」
無視するのも不自然なので
なるべく平静を装って出迎えたつもりが
それはそれで不自然なものになってしまった。
「………」
と、ゾロは視線を合わせたまま
ザッザッザッと積もった雪を踏みつけて
早足で私の方へ近付いてくる。
「な、なに!?」
目の前まで来て、私の顔をじっと見つめてきて
耐えきれずそう声を出した。
それに答えることもなく、手袋を外し
私のおでこに手のひら当てると眉間に皺を寄せる。
気付かれた…
ゾロは私が持っていた雪かき用のスコップを
取り上げ、積もった雪にザクッと刺した。
「チョッパーは?」
「まだだよ。皆と一緒でしょ?」
「ウソップ、雪かきしとけ。」
「えー!ぼくひとりでですかー!?」
ウソップの嘆きにも耳を貸さず
屈んで私の腰に腕を回すと
「ちょっ、なにするの!」
片腕で軽々と私を肩に担ぎ上げた。
「なんだなんだ?」
「熱がある。チョッパーが戻ったらすぐ診てもらえるよう、医療室に寝かしてくる。」
「なんだそうだったのかー!言えよーミドリ。ゆっくりしてろよー!」
心配するウソップに見送られながら
ゾロは私を担いだまま、階段を上がる。
「1人で行ける!下ろして!」
「何強がってんだ。自分の熱にも気付かねェくせに。」
「気付いてたし、強がってない!歩けるってば!」
「いいから大人しく運ばれてろ。」
どんなに暴れてもピクリともしないゾロの右腕に
私は仕方なく抵抗するのをやめた。