彼女にしてください。
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”押してダメなら引いてみろ”という言葉を
どこかで聞いたことがあった私は
次の日から決行してみることにした。
決行するといっても
ただゾロと距離を置くだけのこと。
「フランキー。何してるの?」
「オウミドリ。こんなとこまで珍しいな。ソルジャードックのメンテだ。」
「何かお手伝いない?」
「あ?おめェが何を手伝えるってんだ。」
「……たしかに…」
「気持ちだけありがたく受け取っとくぜ。」
とりあえず地下へ降りて
フランキーのところへ行ってみたりした。
アニキは何の役にも立たない私を
ただそばに置いてくれたけど
邪魔になってしまってる気がして
少しだけ話をして、早めに上へ戻った。
「わぁ、いい匂い!」
「よォミドリちゃん。何か飲むか?」
「いいの。何か手伝う?」
「ミドリちゃんに手伝いなんてさせられないよ。紅茶でいいか?」
「…うん、ありがとう。」
夕食の仕込みをしているサンジ君のところへ行き
カウンターでサンジ君が淹れてくれた
紅茶を飲みながら他愛無い会話をした。
でも結局、仕込みの邪魔になってしまう気がして
紅茶を飲み終えると
サンジ君にお礼を言ってダイニングを後にした。
甲板へ出ると皆、各々の時間を過ごしてる。
チョッパーは舵を握り、ナミは隣で新聞を読んで
ルフィとブルックは釣りに勤しみ
ウソップとロビンはそれぞれ
ポップグリーンと花壇の手入れをしていた。
……ゾロはきっと、展望室でひとりトレーニング。
なんだか…やっぱり
私の一番居心地のいい場所は……
思えば、忙しそうな皆の邪魔をしないように、と
ゾロのところへ遊びに行ったのが
この恋のきっかけだったかもしれない。
決して、皆のそばが心地悪かったわけじゃない。
でも、ただ無心にトレーニングをするゾロの横で
私も好きなことをして、時々話をしたり
気付いたら2人して寝てしまっていたり
そんな時間がホッとできて好きだった。
ゾロと距離を置いているはずなのに
ヤツの存在が特別だったと気付かされてしまった。
でも今は”押してダメなら引いてみろ作戦”の途中。
展望室へ行くわけにはいかない。
これはゾロの気を引くための作戦なんだから。
でも、もしかしたら……
このままできるだけ顔を合わせずにいたら
いつかはゾロへの気持ちに区切りがつくかも。
同じ船にいて顔を合わせないのは不可能だけど
私から会いに行かなければ
あの居心地の良かった空間を二度と求めなければ
ただの仲間として見られるようになるかもしれない。
こんな作戦がゾロ相手に効くとも思えないし
この恋心を忘れることができたら
きっと私も楽になれる。
行きたくても、ゾロのところには行かない。
そんな拷問のような毎日が続いた。