彼女にしてください。
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「なんで、おれなんだ。」
少しの沈黙の後、ゾロの方から口を開いた。
「……わからない。」
「は?」
「わからないんだよ。人を好きになるのに理由なんて必要?」
「…知らねェけど、お前にそんなふうに思われるようなこと、した覚えがねェからよ。」
「してるんだよ。いつの間にか。」
「そういうもんなのか。」
「そういうもんなのよ。」
薄暗い展望室の中
はっきりと相手の表情が見えないせいか
不思議なほど素直になれた。
「……ゾロのこと、しばらく諦められそうにないんだけど……好きでいてもいい?」
「……別に構わねェよ。許可とかいらねェだろ、そういうの。」
ガシガシと短い髪を掻く。
また照れてるのかな?って嬉しくなる。
そばに座り直して
ピッタリと身体をくっつけてみた。
「……こういうふうにしても、何とも思わない?」
覗き込むように見上げれば
すぐ目の前に驚いたゾロの顔。
右肩と左腕。
私より体温が高くて、暖かく感じる。
ここまで近い距離は初めてで
それは腹巻とは比べ物にならないくらい
心臓が大きく脈打つ。
「私はドキドキしすぎて心臓が壊れそうだよ。触ってみる?」
ゾロの右手を取る。
大きな掌を開かせて、自分の左胸へ押し当てた。
「やめろ。」
瞬時に手を離されて、ゾロは私から距離を取る。
「何バカなことしてんだ。アホ。」
「へへへ。お色気作戦。」
完全に拒否されたショックを笑って誤魔化した。
「どっかのアホコックには効きそうな作戦だな。」
「ゾロには?」
「無駄だ。」
「本当に?少しも?」
「あのなァ…」
ハァ、とため息を吐くゾロに胸がズキンと痛む。
「例えばここが無人島で、人間がおれとお前だけだったとしても、おれは絶対お前には手は出さねェ。」
「なんで!?どうして!?女として見られない!?」
「大事な仲間だからだ。」
真っ直ぐに目を見つめてきて
何の迷いもなく真剣にそう言ってのけるゾロに
また、心臓が跳ねた。
「自分のくだらねェ欲を満たす対象にしたくねェ。」
目の前のこの男を抱き締めたい。
そう思ったときにはもう
ゾロに向かって両腕を広げていた。
「そういうところが大好きなんです!」
「うるせェ。声がでけェ。」
ゾロによって簡単に頭を抑えられてしまい
抱き締めることは叶わなかった。
残念。