「待ってる」
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大胆すぎるだろうか。
いろいろと間違えちゃうかもしれない。
不安は消えてない。
でも、ゾロとならきっと大丈夫。
下着の上にバスローブを着けて浴室を出た。
ちゃんと起きて待っていてくれたゾロは
ベッドから立ち上がり
私の目の前で立ち止まる。
私が見上げて、ゾロが見下ろす。
視線と視線が交差する。
全身が熱くなって、顔が熱くなって
これから始まることへの恥ずかしさから
思わず視線を下に落とした。
「無理しなくていいぞ。」
私の様子に気付いたゾロが
珍しく気遣ってくれてることに愛おしさが溢れた。
恥ずかしい、なんて言ってる場合じゃない。
私の覚悟を知ってもらいたくて
バスローブの紐を自分で緩め、そっと脱ぐ。
パサッ、とバスローブが床に落ちた。
顔が向けられない、けど
私の行動にきっとゾロは驚いてる。
恥ずかしさを誤魔化すよう
恐る恐る手を伸ばしてギュッと抱き着くと
下着姿の私を、その大きな腕が優しく包んだ。
太く、たくましいその温もりを直接肌に感じて
私の鼓動は更に速さを増す。
「顔、上げろ。」
言われるまま、素直に顔を上げれば
すぐに唇と唇が重なった。
同時にゾロの腕に力が増し、身体は更に密着する。
キスは何度か経験しているはずなのに
今までにないほど胸がドキドキして
次第に何度も角度を変えながら長く触れ合い
ぬるりとした感触とともに私の唇を割って
ゾロの舌が侵入してくる。
はじめてのことに、私はただ応えることに必死で
だんだんと身体に力が入らなくなり
ほとんどゾロに支えられながら、彼にしがみつく。
唇を離れたゾロのキスが
頬、首筋、鎖骨へと降りてきて
くすぐったさと恥ずかしさに身をよじりながら
ゾロの頭を抱えるように手を添えた。
始まる。
どうしよう。
私、どこか変じゃないかな。
ちゃんとできるかな。
ゾロが喜ぶこと、してあげられるかな。
思わず身体に力が入る。
と、ゾロが顔を上げた。
「ミドリ。」
「……はい。」
熱を帯びたその鋭い瞳で真っ直ぐに見つめられて
私も真っ直ぐに見つめ返す。
と、ゾロは屈んで床に手を伸ばし
バスローブを拾うと、形を直して
そっと私の肩にかけてくれた。
その様子は
もう何もしない、とでも言っているようで
私は戸惑いながら、彼の顔色を伺う。
「……ゾロ?」
「お前、震えてる。」
かすかに震える私の両手を
ゾロの大きな右手が包んだ。
……気付かなかった。
ゾロとなら大丈夫、と思っていたはずなのに
私の不安と緊張を、ゾロは見抜いていた。
「言ったろ?待ってるって。焦るな。」
手は握ったまま、ゾロは空いた左手で
ふわりと身体を抱き寄せると
私の頭を胸に抱き、髪を撫でる。
「無理させたくねェ。」
どうしてこんなに優しく
私を大切にしてくれるんだろう…と
目頭が熱くなる。
「ありがとう。ごめんなさい。私……ゾロが大好きすぎて……臆病になってたの。」
ちゃんと恋人らしくなりたくて
嫌われたくなくて
他の女の子に負けないように
ゾロに好きになってもらいたくて
「十分だ。」
身体を離し、私の腕をバスローブに通し
紐を結び直しながらゾロは笑った。
「お前がおれのためにここまでしてくれただけで十分だ。」
結び終えると、もう一度強く抱き寄せられる。
「今は、これだけでいい。」
私もその大きな背中に手を回して
厚い胸板に顔を押し付ける。
「ありがとう。ゾロ、大好き。」
「やめろ。ムラッときた。」
私の頭に顎を乗せて冗談めかしてそう言うゾロに
私はフッと笑顔になれた。
「大丈夫になったらまた、2人でホテルに泊まろうね。」
「焦るなって言ったろ。」
「うん、ありがとう。」
「……でも、なるべく早めに頼む。」
明日はサニーに乗って海へ出る日。
この夜、私は初めて
ゾロの腕の中で眠りについた。
…fin