ただの仲間のフリはもうしねェ
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「帰ったぞー!」
チョッパーの声がして甲板へ出ると
食料を買い出しに行っていたサンジくんも
一緒に帰ってきた。
結局私はあのままダイニングにこもっていて
ゾロは甲板の隅の方で
いつものように座ったまま寝ていた。
「ミドリちゃん、マリモ野郎と2人じゃクソつまんなかっただろ。待たせたな。」
「そんなことないよ。おかえりなさい。」
正直早めに帰ってきてくれて助かった。
ゾロと2人きりで
どんな顔をすればいいかわからなかったから。
それに続いて仲間たちが次々と船へ戻ってきて
サニー号にはいつもの賑やかさが戻っていた。
ナミとロビンと女3人で
サンジくんが用意してくれた紅茶やコーヒーを手に
甲板で午後のティータイムを楽しむ。
「あれ、ナミのその指輪、初めて見る。」
「これ?綺麗でしょ。さっき買ったばっかりよ。」
「この国は銀の生産が盛んで、シルバーアクセサリーが有名らしいわ。」
「見せて見せて。ほんと可愛いね。」
細めのリングに細かい装飾が施されているそれは
白く細いナミの指によく似合っていた。
「ミドリも明日は街へ行きなさいよ。可愛いデザインたくさんあったから。」
「うん。そうする!」
「この国では特別な相手に指輪を贈ったり、恋人同士で同じ指輪を薬指にはめる風習があるんですって。」
「恋人同士で…」
「素敵でしょ?」
「うん!」
「少女趣味だな。」
「うるさいわね。あんたは黙って魚でも釣ってなさい!」
最後に顔を突っ込んできたウソップに
ナミがどついて一同で笑い合う。
私は甲板の隅の方で眠ったままのゾロを
内心少し気にしながら
仲間たちとのひとときを楽しんだ。
ーーーーーーー
「ゾロがいねェ!」
夕食どき。
食事の準備ができたとサンジくんに言われ
次々とダイニングへ集まる仲間たち。
そこへ、ゾロを呼びに行ったチョッパーが
困った顔で戻ってきた。
「ゾロが?」
「あァ。どこにもいねェんだ。」
と、両手にフォークとナイフを持ち
今にも食べ始めんとするブルックが答える。
「あ、彼なら先ほど出かけましたよ。」
「出かけた?」
「散歩だとか言って。2時間ほど前です。」
「なら勝手に帰ってくるだろ。」
「そうだな!先に食おう!」
「散歩に2時間も?まさか迷子になってるんじゃ…」
「まァ、万が一迷子でもあいつなら大丈夫だろ。」
「おう!ゾロは平気だ!早く食おう!冷めちまう!」
口々にそう言い
まぁゾロのことだから心配ない、と
私たちは食事を済ませる。
結局、その日
ゾロが帰ってくることはなかった。