ただの仲間のフリはもうしねェ
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ゾロと2人で私が作ったパスタを食べ
私が片付けをしているうちに
ゾロは「うまかった」と言ってダイニングを出た。
片付けを終えて
さっきまでゾロが座っていた席に腰掛ける。
まだほんの少し、温もりが残っていた。
「…どうしよう……」
テーブルに腕を乗せて突っ伏して
横を向いて頭を乗せて考える。
ゾロの気持ちは、本当のところはわからない。
でもああやって明らかな態度でこられると
私もいい加減、逃げられなくなりそうだ。
今までがいい。
今のままの、ただの仲間の2人がいいのに
お互いが意識し始めてしまったら
その願いはもう、虚しいものなのかも。
「はぁ〜……」
ため息が漏れたところで急にドアが開き
思わず私は目を閉じた。
別に寝たフリなんてする必要はなかったけど
なんだか気まずかったから。
案の定、ゾロの足音が部屋に入ってくる。
ドスドス、と近づいて来て
すぐそばで止まった。
「なんだ、寝てんのか……」
小さく呟いた。
そうです。
私は寝てるので気にしないでください。
心の声でそう言ったけど、何も意味はなく
さらに足音が近づき、隣に座る気配がした。
どうして隣に!?
起きた方がいいのか、どうしようか迷っていると
2、3本の指がするりと頬を撫で
そのまま髪を撫でられた。
優しい感触だった。
ただの仲間にこんなことする?
目を開けるわけにはいかない。
目を開けた瞬間
ただの仲間ではなくなってしまうから。
「…ミドリ……」
耳元で、低く静かな声が響く。
思ったより近くに顔があるようで
心臓がバクバクとうるさくなる。
「……おれのもんになれ。」
放たれたその一言に
今度は心臓が止まるかと思った。
どうして、そんなこと言うの。
そんなこと言われてしまったら
もう、今まで通りになんて振る舞えない。
絶対に、目は開けない。
「そうやって気付かねェフリ続けるつもりか。」
少し怒った口調になったかと思えば
突然荒々しく唇に何かが触れた。
頭が真っ白になる。
寝たフリをした私に、ゾロからの口付け。
「諦めねェから。」
怒った口調は変わらず、吐息混じりにそう言うと
足音が遠ざかり、ドアが閉まる音がした。
目を開けると、いつも通りのダイニング。
唇を噛んで、指で触る。
確かにそこには、柔らかい感覚が残っていた。
「…どうしたらいいの……」
もう、ただの仲間には戻れない。