ただの仲間のフリはもうしねェ
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
〜ただの仲間のフリはもうしねェ〜
最近のゾロは少し変だ。
まぁうちの一味の皆は、変わってるっていうか
基本的におかしな人たちの集まりなんだけど
ゾロの行動が今までと違う。
具体的に何が違うのかって言うと——
数日前、お風呂上がりに
トレーニング終わりのゾロとすれ違えば
「あ、ゾロトレーニング?お疲れ様。」
「早く髪乾かせ。風邪引く。」
そう言って濡れた髪をクシャっと撫でられる。
こんなこと、今まではやられなかったし
大きな掌の感覚がやけに残った。
食事の時間。
ダイニングへ次々と集まるクルーたち。
大抵は最後の方にやってくるゾロが
最近は早めに来て、必ず私の隣の席に着く。
「それ、食い切れねェなら食ってやろうか。」
「違う。好きだから最後に食べようと思ってるの。」
「じゃあ、おれのもやる。」
そうして自分のお皿から
私の好きなおかずをよこしてくれた。
甲板に座り込んで読書をしていれば
「隣いいか。」
「え、あ、うん。どうぞ。」
急に隣に腰を下ろし
何をするでもなく、腕を組んで居眠りを始める。
やっぱり、少し変だ。
優しくなったし、距離も近い。
以前に比べて
そばにゾロがいることが多くなった。
いかにも他人には興味がなくて
一味の皆が船の上で何をしてようが気にも留めず
筋トレか昼寝か飲酒が中心の生活だったゾロが
なんだか……私を気にしてる?
ただの自惚れだったらいいんだけど……
——島に着いた今日も。
「えっと、ミドリが船番で、もうひとり誰か…」
「おれが残る。」
「あ、そう。じゃ、ゾロよろしく。」
「いいの?ゾロ。久しぶりの島なのに。」
「特に用事もねェしな。」
「ごめんね。私が頼りないから…」
「気にするな。おれがそうしたいだけだ。」
ほらね、優しい。
「でもゾロがいてくれたら安心だよ。ありがとう。」
少し照れ臭くなりながらも笑顔でそう言えば
何を言わず、髪を撫でてくれた。
私は頭に残った掌の感触を振り払うように
目を閉じて頭を振った。
触れられるたびに
心臓が跳ねて、体が熱を帯びる。
この感覚はなんだかクセになりそうで
それを振り払いたかったから。