肌を重ねたなら ver.z
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「私もゾロが好き。」
不思議と素直になれた。
真っ直ぐに見つめ返しながらそう言えば
頭の上に大きな掌が乗せられた。
満足そうにゾロが笑う。
「あの夜のこと…ミドリは後悔してたみたいだけどな、おれはお前におれを意識させるいいきっかけだったと思ってる。」
あの夜のこと。
何度も何度も、鮮明に思い出す。
重なったときの、体の熱。
優しく触れてくる指先。
耳元で名前を呼ぶ低い声。
熱い視線。
愛されてるって勘違いしそうになるほど
尊く、幸せなひとときだった。
でも、勘違いなんかじゃなく
ゾロはあの夜に想いをぶつけてきてくれていた。
言葉はなくても、肌で、心で感じた。
「……私も…やっぱり、先にああいうことをしておいてよかったかも。」
「あ?」
「だって…あの夜があったから、今の告白もゾロの気持ちも心から信じられる。」
「そうかよ。なら順序なんか気にする必要なかったな。」
見つめ合い、笑い合う。
ゾロの腕が伸びてきて、私の腕を掴む。
「来いよ。」
向き合ったまま、引き寄せられるままに
ゾロの膝の上に座った。
あの夜のように。
深く深く、口付けを交わす。
ゾロの太い首に手を回せば、背中を強く
抱き締められ、身体と身体が密着する。
激しく、荒々しくなってくるキスに
あの夜を思い出して、身体の中心が熱くなる。
ふと、ゾロの手が私の服の中にするりと伸びて
素肌に触れた瞬間
私は理性を取り戻し、顔を離した。
「んっ、だめ。今はだめ。船番中。」
「……しょうがねェな。」
ゾロはあまり納得していないような表情で
頭を掻くと
そのままゴロリと芝生に仰向けになる。
「なら昼寝に付き合え。」
「え?」
「そのくらいいいだろ。」
投げ出されたゾロの腕に頭を乗せて横になると
ゾロの手が私の肩を抱いた。
2人の上を風が優しく通り抜ける。
柔らかい芝生の感触が気持ちいい。
隣には好きな人。
なんだかすごく、贅沢な空間だった。
「ねぇゾロ。」
「あ?」
「私今、女としてすごく幸せ。」
「そりゃよかったな。」
フッとゾロが笑って
しばらくすると寝息が聞こえてくる。
その規則正しいリズムと、
片腕で肩を包むゾロの体温に、私も眠気を誘われ
そのまま静かに目を閉じた。
…fin