肌を重ねたなら ver.z
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それから、あからさまに
ゾロを避ける毎日が続いた。
目を合わせず、なるべく2人になるのを避け
トレーニング中の差し入れもしなくなった。
幸い、船は次の島に着いて
一週間ほどのんびりしようということになったので
各々自由に過ごす毎日。
ヤツとほとんど顔を合わすこともなかった。
なのに……
「今日の船番はミドリとゾロだな!」
「なっ…」
「仕方ないでしょ?くじ引きなんだから。誰か帰ってきたら代わってもいいから!」
今日は私たち2人を置いて
皆が街へ行ってしまった。
どうしよう…
船の中に2人きり。
嫌でも顔を合わせてしまう。
いや、もしかしたら
いつもみたいにゾロは昼寝かも。
私も部屋に篭ってればいい。そうしよう。
と、女子部屋へ向かおうとすると
「おい。」
ふいに呼び止められ、体が強張る。
「話がある。」
「……はい…」
怖い。
その鋭い視線から逃がれられず
誰もいない甲板の芝生の上、向き合って座った。
あぐらをかいて腕を組むゾロの前に
正座をして向き合う。
完全に説教されるときのそれだ。
「やっぱり怒ってる?私がゾロを避けてたから…」
「あ?怒ってるのはお前だろ。」
「え?」
「おれが色々すっ飛ばして、あんなこと先にしちまったからだろ?」
「それは…怒ってはないけど、恋人同士でもないのに、やっぱりあれはまずかったかなぁって…」
「だからちゃんと順序通りやることにする。」
「え?」
「お前が好きだ。」
低いけれどよく通る声で
面と向かってはっきりとそう言われ
一気に鼓動が速くなる。
「おれはお前しか見てねェし、お前にもおれ以外を見て欲しくねェ。」
ふいにゾロの手が伸びてきて
膝の上の私の手を握る。
掌の熱が伝わる。
まさかゾロから
こんな真っ直ぐに気持ちを伝えてもらえるなんて。
「お前の言う普通の幸せってのはわからねェが、この船降りるとかバカなこと考えんな。おれのそばで幸せになれ。おれがしてやる。」
あまりにも真っ直ぐに伝えてくるから
恥ずかしさから、私は手で口を抑え
つい下を向いてしまった。
素直に嬉しい。
それに
——好きでもない相手にこんなことしねェ
あの時曖昧なままだったその言葉は
ちゃんとゾロの本心だった。
「こんなんでいいのか。告白っつーのは。」
あんなに真っ直ぐな言葉を人に浴びせておいて
急に照れたのか
ゾロも頭を掻きながら顔を逸らした。
私のために慣れないことをしてくれたことが
嬉しくて、すごく愛おしい。
誰かをこんな風に想うのは初めて。
これが恋。
想いをぶつけるように
勢いよくゾロに抱きついた。