肌を重ねたなら ver.z
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隣のゾロを盗み見る。
「どうなってんだ、この服…」
ナミのワンピースを干すのに戸惑ってる。
そんな姿にも胸がギュッとなる。
ドキドキする。
初めての感覚。
悔しいことに…私は、この男に恋をしたようだ。
本当に?私がゾロに?
恋ってもっと、少しずつ意識して
距離が縮んでいって
ドキドキする出来事があって
嬉しくなったり、落ち込んだりしながら
胸に想いが募っていくものなんだと思ってた。
なのに、始まりがあんな
いきなり体の関係からなんて。
一度抱かれただけで、恋に落ちてしまった。
なんて単純な女だろう、と思われてしまうかも。
悔しくて、恥ずかしい。
ゾロには言えない。絶対に。
「終わったぞ。これで全部か?」
考え事をしているうちに、いつの間にか
大量にあった洗濯物は全て風に揺れている。
「あ、うん。私もこれで終わり。ありがとう。」
挙動不審になりながらも平常心を装って
ゾロに笑顔を向ける。
けど、ゾロは真顔で私を見つめていた。
「えっと……何?」
「今夜も来いよ。」
「なっ…!」
誰かに聞かれてないか、私は焦って周りを見回す。
幸い、甲板には誰もいなかった。
「何言ってるの。」
「まだ痛ェなら無理言わねェけど。」
「い、痛くは、ないけど…」
昨夜のような甘い時間をまた…
心が揺れた。
でも……
「……行かない。」
「………」
「もう行かないし、もうしない!」
空になった洗濯カゴを持って、その場を離れた。
少し意地になっていた。
一度肌を重ねたくらいで
いつでもヤれると思われたくない。
私はそんな簡単に体を許すような
軽い女じゃないんだと言いたかった。
いや、一度は許してしまったけれども。
とにかく軽い女じゃない!
いくらゾロへの気持ちに気付いても
ちゃんと恋人同士でもないのに
またあんなことをするのは
やっぱり間違ってる気がするから。
遠ざかるゾロがなんだか少し寂しげに見える。
胸が苦しい。
あぁ、やっぱり、これが恋なんだ。