肌を重ねたなら ver.z
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次の日。
「……やってしまった。初めて……まさか私が……ゾロと……」
サニー号のトイレの中にこもったまま
もうすぐ朝食の時間だというのに
ダイニングへ行けずにいる。
昨夜、コトが済んだ後
身体のダルさと痛みにやられる私を
ゾロは心配してくれたけど
ただおやすみと言って
顔も見ずに、逃げるようにあの場から出て行った。
正直いうと……とても良かった。
私もゾロも慣れてなかったし
もちろん痛みはあった。
でも、キスはクセになりそうなほどで
あの大きくてゴツゴツとした手指が
大事なものを扱うかように私の全身に触れて
ゾロの全てが優しかった。
普段の2人からは想像もつかないほど
艶っぽく甘ったるい時間だった。
ここが海賊船だと忘れて
恋人同士なってしまったんじゃないかと
錯覚してしまいそうなほど、素敵な夜だった。
そんなひと時を過ごした後で、これから
どんな顔してヤツに会えばいいっていうの。
——トントン
頭を抱えて悩んでいると
トイレのドアがノックされた。
「はい!今出ま——」
「便所が長ェってチョッパーが心配してる。」
……相手の声を聞いて体が固まる。
確かに、朝
起きてからダイニングでチョッパーと話していて
そろそろゾロが来ると思ったら落ち着かなくなって
「トイレに行ってくる」って逃げるように
ここへ来た。
チョッパーが心配するのも無理はない。
ても、迎えに来たのは
今一番会いたくない相手だ。
「下痢か?便秘か?」
もしサンジくんなら
レディーにそんなことは聞かないだろうな、なんて
どうでもいいことを考えて現実逃避する。
けど、出て行かないわけにはいかない。
私は意を決した。
大丈夫。
ドアの前にいるのはただのゾロ。
今まで通り、仲間のひとり。
単細胞で筋肉バカな男。
昨日の夜のゾロは、あれは夢だ。幻だ。
自分にそう言い聞かせながらドアを開けた。
「何ともありません。」
「そうかよ。メシ出来たってよ。」
「うん、ありがとう。」
ダメだ。顔を合わせられない。
でも、なるべくいつも通りに振る舞い
ダイニングへと向かおうとすると
「……まだ痛むか?」
この男は……どうして察してくれない。
これからのことを考えて、こっちは必死で
昨夜の事はなかったことにしようとしているのに
平気でほじくり返そうとする。
「何の話?私は何ともないよ?早く朝ごはん行こ。あーお腹空いた。」
我ながら酷い芝居。大根役者もいいとこ。
でも、ゾロに反論させるすきを与えないように
そのまま言い逃げして
そそくさと皆のところへと向かった。
さすがに皆の前で
ゾロが昨夜の話題を出してくることはなかった。