肌を重ねたなら ver.z
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「ごめん、聞いてくれてありがとう。気にしないで、筋トレ続けて。」
これ以上、トレーニングの邪魔にならないよう
部屋へ戻ろうと立ち上がる。
が、同時に手首を掴まれた。
「なら、経験しとくか。」
「え?」
「おれでいいならな。」
そう言うとゾロは立ち上がって、さらに私の
腕を引き寄せ、だんだんとゾロの顔が近付く。
「目、閉じろ。」
「な、何するの?」
「お前がしたがってたことだ。」
それって?
え、キスのこと…?
何の躊躇もなくグイグイと近付いてくる
ゾロの顔から逃げるように、私は顔を逸らす。
「ちょ、そういうことじゃないんだってば。」
「あ?」
「まず両思いになって、気持ちを確かめ合って、恋人になって……」
「面倒くせェな。」
「だって、そういうものでしょ?」
「じゃあなんだ。お前に好きだって言えばいいのか?」
「そ…それはそうなんだけど…そうじゃなくて……」
「なんなんだ。わけわかんねェ。」
痺れを切らしたゾロに、少し無理やり
顎を持ち上げられ上を向かされる。
息がかかりそうなほどの距離まで顔が近付いて
私にもう逃げ場はない。
「で、でも!ゾロ、別に私のこと好きじゃないでしょ?」
「アホか。好きでもない相手にこんなことしねェ。」
「え……」
目を閉じる間もなく、唇が重ねられた。
意外にも柔らかいその感触に、身体が熱くなる。
はじめてのキスは一瞬だった。
「………嫌か?」
少し不安げなゾロが
なんだかいつもの彼じゃないみたいで
胸がギュッと締め付けられる。
「いや…では…ないです……」
「何緊張してんだ。」
「だって、初めてで…どうしたらいいのか…」
「心配すんな。おれも初めてだ。」
それ余計に緊張するんですけど
なんて言葉はゾロの唇によってかき消された。
「ん……」
今度は3秒くらいのキス。
ちゃんと目は閉じた。
「ちょっと!何回するの?」
「嫌じゃないなら遠慮しねェ。」
3度目のキスは、全然違った。
噛みつかれるように荒々しく、深く、長く
何度も何度も角度を変えられ、酸素を奪われる。
息苦しく、耐えられなくなって口元が緩むと
ゾロの舌がぬるりと侵入してきた。
「んんっ……」
なにこれ。
どう対応したらいいのかわからない。
驚いてゾロの胸を両手で叩くけど
離してくれるどころか、逆に背中に腕を回されて
強く抱き寄せられてしまった。
だんだんと思考を奪われて、何も考えられなくなり
ゾロのキスに応えることだけに必死になる。
そうしていると、恥ずかしいことに
だんだんと気持ちが良くなってくる。
もっと、もっと。
夕食の時に飲んだ、お酒のせいもあるのだろうか。
無意識に、自らゾロの首に手を回していた。
ゾロの手が下に下がり、私の腰を掴んで抱き上げ
そのままベンチに座ったゾロの両足をまたぐ形で
向かい合うように膝の上に座った。
なんて恥ずかしい格好。
それでも互いの唇が離れることはなく
湿った音だけが、部屋の中に響いている。
そこからはもう、止まることなく
展望室のベンチというなんとも無機質な場所で
私たちはひとつになった。