気がつけば
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ルフィを先頭に、ウソップ、ゾロ、私という並びで
ジャングルの奥へ奥へと進んでいく。
今のところ猛獣どころか虫1匹すら見かけない。
それにしても、ルフィの歩くペースが速くて
一味の中でも一番小さい私は
ついて行くのがやっとだった。
おまけに足元に生えている草が鋭くて
時々足に擦れて痛い。
でも皆の足を引っ張るわけにいかない。
必死でゾロの背中を追いかける。
と、チラリとこちらを見たゾロが
歩幅を私に合わせるように隣に来て
前に向かって声を上げた。
「おいルフィ。お前焦りすぎだ。もう少しゆっくり歩け。」
「なんだよゾロ。もう疲れちまったのか。」
「んなわけねェだろ。斬るぞ。」
いつもはデリカシーのかけらもないくせに
突然のその優しさがずるい。
「大丈夫だよ、ゾロ。ありがとう。」
なんだか素直になれた。
ゾロにだけ聞こえる小さな声でそう言うと
少し照れ臭そうに顔を逸らした。
「はぐれて迷子になられたら面倒だからよ。」
「迷子って…どの口が言ってんの。」
「うるせェ。」
思わず笑みがこぼれた。
久しぶりにゾロの前で笑った。
「……やっと笑ったな。」
そう呟いたゾロを見ると
こちらを見て嬉しそうに笑っていて
久しぶりに見たその笑顔に
心臓がぎゅっと掴まれたように苦しくなる。
「行くぞ。」
私がじっと見つめてしまっていたせいか
ゾロは居心地が悪そうに目を逸らし
再び前を歩き出す。
その大きな背中を追いかける。
スラリと背が高くて
鍛え上げられた、たくましい体つき。
ゾロはどこからどう見ても素敵な男の人。
今思えばそんな人が
私のことを好いてくれているなんて
ものすごく贅沢なことだし、奇跡なんじゃないだろうか。
ゾロはどうして私なんかを……
——ヒュッ……
「キャッ!!」
それは一瞬の出来事だった。
体に縄が巻きつけられたかと思えば
そのまま強い力で木の上まで引っ張り上げられ
何者かに抱えられた。
「ミドリ!!」
ゾロが気付いて大声を上げると
ルフィとウソップも振り返る。
私を抱えているのは
上半身裸で槍を持ち、仮面を付けた大男だった。
「や!離してっ!」
どうにか逃げようとジタバタ動くが
強い力でおさえられ、ビクともしない。
周りの木々の上には同じような格好をした男たちが大勢いる。
いつの間にか私たちは囲まれていたんだ。
「なんだ!?コイツら!!」
「せ、先住民か!?」
「変な格好しやがって。ミドリを離せ。」
ゾロが刀を構えた瞬間
敵は私を抱えたままた木を飛び移って逃げ出した。
遠くなっていく3人に向かって
敵の仲間たちが攻撃を始めたのが見えた。
「ゾロ!助けて!!ゾロォ!!」
そして皆の姿が見えなくなる。
「おれはミドリを追う!ここは任せたぞ!」
「おう!」
「よし、行けルフィ!!援護は任せろォ!!」