月の夜に
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後甲板へ来た。
船の前方からは、クルー達が馬鹿騒ぎする声が聞こえてくる。
「どうしたの?ゾロ。」
「てめェがどうしたんだ。急によそよそしい態度取りやがって。」
「え、そうだったかな。ごめん。」
「コックに何か言われたか?」
ギク。
そう効果音が聞こえてきそうなほどに
ミドリの全身が震えた。
図星だな。
「何言われた。」
「………。」
少しの沈黙の後、半ば諦めたようにミドリは話し始める。
「……私、サンジ君のこと好きじゃなかったみたい。」
「あ?」
思ってもいなかった発言に半開きになった口を閉じられない。
あれだけ毎日俺にヤツの名前を浴びせておいて、好きじゃなかっただと?
半分拷問のようだったあの時間は何なんだ。
「それはねェだろ、今さら。どう見たってお前…」
「好きは好きだよ?仲間だし。でもそれは恋愛感情じゃなかったって言うか……サンジ君すごく優しいし、あんな風に女の子扱いされたのって生まれて初めてだったから…勘違いしてたんだと思う。」
「勘違い……」
コイツの勘違いのせいで
俺は毎日拷問を受けていたってのか。
色々文句はあったが
ミドリがいつになく真剣な顔で話を続けるから、もう少し聞いてやることにした。
「さっきサンジ君に言われたの。私はゾロといる時が一番幸せそうだって。」
「俺と?」
「それで考えたら…確かに私、ゾロといると楽しいし、なんていうか…心が穏やかになって、一番安心できるの。」
月明かりに照らされた
大きな瞳で真っ直ぐに見上げられる。
「私ゾロのことが………好きなのかなぁ?」
「あぁ?」
焦った。
てっきり告白されると思って身構えちまった。
「んなこと俺が知るか!」
動揺を悟られないように大声を出すが
かえって不自然だった。
ミドリはそんな俺に構うことなく
突然俺の手を両手で握る。
ひんやりとした小さな手が
酒で熱くなった俺の指先を冷やすように包み込んだ。
「……サンジ君に言われてから、なんだか意識しちゃって…さっきも変な態度になっちゃって……」
体が熱くなる。
それは酒のせいなのか。
はたまた
「こうしてるとすごくドキドキする。私ってやっぱり、ゾロのことが好きなのかなぁ?」
コイツのせいか。