月の夜に
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ミドリが数える前で
重りを手に素振りをする。
「314……315……316……」
俺の素振りの回数を数えていたかと思えば
まだまだ序盤でだんだんと声が小さくなり
「…3…1……」
いつの間にか声が消えた方を見ると
座ったまま完全に寝入っていた。
「おい。」
返事もなければ起きる気配もない。
「寝るなら部屋行け。」
もちろん、動くこともない。
「……面倒くせェな。」
俺は一度素振りを中断する。
この女をどうしたもんか。
このままここで寝かしとくわけにいかねェし
何よりこんなところで寝られたらトレーニングに集中できやしねェ。
第一、男と2人のときに寝るなんて
なんて無防備なヤツだ。
まぁ、俺はコイツにとって兄貴らしいからな。
その辺は安心されちまってるのか。
ベンチに座るミドリの目の前にしゃがみ
顔を覗き込む。
気持ちよさそうに寝息なんか立てやがって。
サラリと流れるように垂れた髪
膝の上に置かれた白くて細い腕
短パンからすらりと伸びた足
ゴクリとツバを飲む。
「このままだと襲っちまうぞ。」
言ってみただけだ。
そんなつもりは毛頭ないし
そんなことをしたらコイツに嫌われて
今まで築いてきた信頼を失うのは目に見えている。
それだけは絶対に避けたい。
女部屋へ運ぶためミドリを抱き抱える。
と、シャンプーの香りが俺の理性を刺激した。
——さすがお兄ちゃん!
その瞬間、さっきのコイツの言葉が頭に響く。
何が兄貴だ。ふざけんな。
もしお前が妹なら
こんなに欲情するはずがない。