月の夜に
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何が気に入らねェって
あいつが惚れてる相手だ。
なぜよりによってあのグル眉なんだ。
〜月の夜に〜
「今日の戦いで、一気に敵20人も蹴り飛ばしちゃったんだよ。格好良かったな〜。」
「俺は30人だったけどな。」
「昨日はね、寝る前に私好みの甘〜いココア入れてくれたの。最近夜は冷えるからって。」
「寝る前は太るだろ。」
「そういうことじゃないの!サンジ君の優しさなの!ゾロは全然わかってない!」
「そうかよ。」
夕食後、いつものごとく展望室で筋トレをしていれば
コイツもまた、いつものごとくやってきて
隣で延々と、眠くなるまでコックの話を続ける。
「さっきもお皿片付けるのを手伝ったら、助かるよ、って笑いかけてくれたんだ。」
「あいつはいつも女共にはニヤついてるからな。鼻の下伸ばして。」
毎日のように聞かされるコックの話に
いい加減嫌気がさして悪態をついてやれば
指だけの腕立て伏せをする俺の背中に
ドカッと乗っかってきやがった。
「うっ……」
「だからそういうんじゃないんだってば!」
少しも重くはないが
いきなり来られるとバランスを崩しそうになり
倒れそうになるのを堪え、再び上下運動を始める。
もちろんミドリは乗ったままだ。
「毎回毎回うるせェんだよ。コックの話がしたきゃ他のヤツとすりゃいいだろ。何でいつも俺んとこに来やがる。」
「だって私がサンジ君のことを好きだって知ってるのはゾロだけだし。」
「聞いてもねェのにてめェが勝手に報告してきたんだろ。」
「だって、ゾロが一番話しやすいんだもん。」
「あぁ?」
背中に乗ってるせいで表情は見えねェが
拗ねたようなその物言いから
口を尖らせて恨めしい目で俺を見るミドリの顔が想像できる。
可愛いこと言うじゃねェか。
本当に困った女だ。
俺の気も知らねェで。
いつからだったか。
この女を特別に想うようになったのは。
仲間になって船に乗ってきたときは
誰にでも屈託のない笑顔でよく笑う女だと思った。
いざ話をしてみれば
頑固な部分もあれば、涙脆い一面もあり
笑ったり怒ったり泣いたり
表情がコロコロ変わって、見ていて飽きなかった。
何でか俺によく懐いて
気付けば横にいることが当たり前のように
いつも俺のそばをうろついてやがる。
一番近くにいたからすぐに気付いた。
自分の中に芽生えた気持ちにも。
コイツが誰を見ているのかも。