First Love
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ダイニングでゾロがやってくるのを待つ。
そろそろだろうという頃
サンジくんが作っておいてくれたケーキを出して
ゾロが好きな緑茶を煎れて。
私はゾロが好きです。
彼女になりたいです。
頭の中で練習する。
恥ずかしいけれど、やっぱりちゃんと伝えたいから。
ガチャ——
扉の開く音がして振り返ると
「おお!おやつだけじゃなくて茶まで煎れてあらァ。気がきくなミドリ。」
「っ!フランキー?」
そこには待ち人ではなくサイボーグ。
「船底の修理は?」
「ちょうど終わったところでゾロに会ってよ。ミドリが一人でおやつ食うの寂しがってるから、行ってやれって言われたんだ。」
「そう…ゾロが…。」
あからさまに残念そうな顔をしてしまい
フランキーが申し訳なさそうに言う。
「…?なんだ?おれが来ちゃまずかったか?」
「ううん!そんなことないよ!じゃあ一緒に食べよ!」
暗くなっちゃだめ。
フランキーに失礼じゃない。
ふふっと笑顔を作ってケーキを差し出す。
「今日のおやつはケーキだよ〜。フランキー、船の整備、いつもありがとう。」
「おう。これも務めだ。気にすんな。うん、うめェうめェ。」
「本当、おいしいね。」
残念なような
少しだけホッとしたような。
ダイニングで待ってろって言ってくれたのに
来てくれなかった。
やっぱり少し悲しい。
「浮かない顔してんなァ、ミドリ。せっかくうまいケーキなのによ。」
「えっ、そんなことないよ!本当おいしいね、サンジくんのケーキ。」
「ゾロの野郎に話があったんじゃねェのか?」
「…え?どうして?」
「このケーキに緑茶はちと合わねえ。あいつが緑茶好きだからだろ?」
まぁうめェけど、と言いながら
お茶をすするフランキー。
「悪かったな。おれが来ちまって。」
「フランキーは何も悪くないよ。たしかに話があったんだけど…そんな急ぐ話でもないしね。それに、フランキーと話すのも楽しいし。」
「お、嬉しいこと言ってくれんじゃねェか。」
ガシガシと頭を撫でてくれるフランキー。
まるでお兄ちゃんのようで安心する。
優しいけど
ゾロに撫でられたときのような
胸を締め付けられるようなドキドキはない。
やっぱりゾロが特別なんだと再確認させられる。
「ねぇフランキー、私って魅力がないのかな?」
ゾロの行動を考えると
全く私に気持ちがないんだと思った。
少しでも私を気にかけてくれてるなら
ちゃんと来てくれたはずだもん。
もちろん自信があったわけではないけれど
完全に脈がないと思い知らされ落ち込む。
「ミドリ、てめェは誰がどう見ても上玉だ。よくわからねェが自信を持て。」
「ありがとうフランキー。おせじでも嬉しいよ。」
ガチャ——
「ただいま〜!」
「戻ったわよ。船番と修理ありがとう。」
一足先に帰ってきたナミとロビンが
ダイニングへとやってきた。
「いいってことよ。島は楽しかったか?」
「ええ。いい街だったわ。」
「ナミ、ロビン、お帰り〜。ケーキあるよ?食べる?」
「ちょっとミドリ!」
フランキーの横からひょいと顔を出すと
血相を変えたナミがツカツカと目の前にやってくる。
「あんた何やってんのよ!せっかくチャンス作ってあげたのに!なんでこんな変態ロボと呑気にお茶なんかしてんのよ!」
「おいそんなに褒めるんじゃねェよ。照れるだろ。」
「フランキー、褒めてはいないわ。」
やっぱりね。怒られると思った。
「あの…ちょっとうまくいかなくて…まだ話せてなくて。」
思わず苦笑いをしていると、ナミに頬をつねられる。
「いててて。」
「まだ間に合うわ!うるさい男たちが帰ってくる前に、行ってきなさいよ。」
「行ってくるって…?」
「ゾロのところよ!」
「あの…ロビンもフランキーも聞いてる…」
「そんなこといいから早く行くの!」
「ふふふ。楽しくなってきたわね。」
ナミに腕を引っ張られ、椅子から立たされる。
「……なるほどな!そうゆうことかよ!おれは本当にヤボなことしちまった!悪かったなミドリ。」
「ほんとよ!あんたなんかヤボでロボで変態よ!」
「だからそんなに褒めてくれるなって。ミドリ、あいつなら刀の手入れだとか言ってたから、展望室あたりにいるはずだぜ。」
「…ありがとう、フランキー。」
仲間たちに背中を押されて、展望室へ向かう。
今日気持ちを伝えるって決めたんだ。
言ってやろうじゃないか。