可愛くない私とヤツの背中
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女性が作った料理をご馳走になり
空腹だった私たちの食欲は満たされた。
満足そうにお酒を飲むゾロの隣で
女性が嬉しそうにお酌をする。
私はそれを恨めしい目で見ながら
木苺が乗ったケーキを頬張る。
悔しいけど、料理もケーキもとても美味しかった。
女性はとてもいい人だった。
美人で、気品があって、優しくて
けどどこかか弱くて、健気で
きっと男性から見ると
守ってあげたくなるような、女性らしい人。
ゾロと並んでいると美男と美女で
とてもお似合いだった。
2人を見れば見るほど
ゾロの隣にはこういった人が合ってるな、なんて思ってしまって
私は自分が惨めになっていく。
ーーーーーー
「この道を真っ直ぐに行けば港に出られます。」
空を夕陽が照らし始める頃
女性の家を出て、港へ続く道まで案内してくれた。
「なんだ簡単だな。」
「お料理とケーキ、ご馳走様でした。」
「こちらこそ、助けていただいて本当にありがとうございました。またいつでもこの村に来てくださいね。」
「おう。」
「さようなら。」
女性に別れを告げて、私たちは港へ続く一本道を歩いた。
「なかなか上等な酒だった。」
腰の刀に手を乗せ歩きながら
ゾロは満足気に笑った。
「それは良かったね。」
「あ?何か怒ってんのか?」
「別に。」
私はさっきからずっと
胸の奥がモヤモヤしたままで
つい素っ気ない態度を取ってしまう。
ヤキモチだなんて。
そんなもの妬いても、ゾロが私を好きになってくれるわけじゃないのに。
本当に私ったら可愛くない。
そんなことを考えていると
前を歩いていたゾロが急に立ち止まり
刀に手を添えながら反対の手で私を静止させる。
「ゾロ?」
——と、周りを見ると
いつの間にか大柄な男達数人に囲まれていた。
目の前にいる一番大きな強面の男がゾロを睨みつける。
「てめェ麦わらんとこのロロノアだな?」
「だったらどうした。」
「昼間俺の可愛い部下が2人やられたんだけどよ、どうやらテメェの仕業だな。」
「んなこと、いちいち覚えてねェよ。」
やばい。
きっとさっきの人攫いの親玉だ。
まだこんなに仲間がいたなんて。
仕返しに来たんだ。
ゾロも挑発しちゃってるし、確実に戦闘になる。
ゾロの邪魔になりたくないけど
周りを囲まれてしまって逃げ場はなかった。
「いいから俺から離れるな。」
考えは読まれていたようで
ゾロが小声で私に言った。
「調子に乗ってんじゃねェぞ!ロロノア!!」
敵が刀を振り上げた瞬間
ゾロも和道一文字を口にくわえる。
またも勝負は一瞬だった。