やさしいキス
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「ちょっとゾロ!どうしたのその顔!」
目を見開いたナミがおれの顔を見て声を上げた。
普段から鏡なんて見ないおれは
ナミに言われるまで気付かなかった。
ミドリに叩かれたおれの顔には
手形が綺麗に残っているらしい。
「……ほっとけ。」
理由なんて自分から言えるわけねェが
ミドリがおれにされたことをこいつらに言ったら
おれは軽蔑されるんだろうな。
まぁやっちまったもんは仕方ねェ。
どんな罰でも受けるつもりだ。
「蚊が止まってるのを見つけて、私が思いっきり叩いちゃったの。ね?ゾロ。」
隣に笑顔のミドリが現れ
まさかのおれを庇う発言に、一瞬言葉を失う。
「チョッパーから湿布もらってきたよ。貼ってあげる。」
「なんだ、そうだったの。こんな時季に蚊なんて珍しいわね。」
「……なんで本当のこと言わねぇ。」
ナミがいなくなったのを確認して
ミドリに聞いた。
「本当のことって?」
「おれがお前にした酷ェことだよ。」
「……酷くなんかなかったよ。」
「……あ?」
「そりゃ、ちょっとびっくりしたけど、悪意はなかったでしょ?」
おれの頬はミドリによって湿布を貼られ
そのまま小さくて熱い手で両頬を包まれる。
「ちょっと無理矢理だったけど、すごく優しかったよ。」
まっすぐにおれを見上げて
嬉しそうに笑うから
勘違いしそうになるじゃねェか。
「なら叩くことなかっただろうが。」
「だって順序が違うから頭にきちゃって。」
「順序?」
「まずちゃんと『好きだ』って言って欲しかった。」
「………」
「私もずっと、ゾロが好きだったのに。」
都合の良い夢でも見ているのか。
思いもよらぬ告白に
柄にもなく焦る。
「そんなわけねェだろ。いつも必要以上にコックと仲良くしてたじゃねェか。」
「わざとだよ?……ゾロが全然気付いてくれないから…」
「なっ……」
「ねぇ、私のこと好きなの?」
気付けば壁際まで詰め寄られて
もう逃げ場がねェから
「ちゃんと言って。」
「あァ、好きだ。」
そのままミドリの腰を抱き寄せる。
小さいこいつに合わせて腰を曲げ
耳元で囁く。
「お前が好きだ。」
「うふふ。」
嬉しそうに、満足そうに笑うミドリに
おれの鼓動は速くなる。
「ゾロ…もう一回、ちゃんとして?」
熱を持った瞳で見つめられれば
飛びそうになる理性を抑えながら
唇を重ねた。
大事なものを包むように
深く
やさしく。
…fin