ある日の昼寝から
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「ミドリお前、おれの隣で寝てたろ?あん時からだ。」
ミドリが握るルフィの右手は
少しだけ震えていた。
今さっきまでこの腕を振り回していたせいか
それとも別の理由か
もちろんミドリにも、本人にもわからなかった。
「変なことしちまうんだ。お前に。」
「変なことって?」
「いやだ。言いたくねェ。」
「……それが私を避けてる理由?」
「そうだ。夢で見たようなこと、お前にしちまう気がして、なんか怖ェ。」
得体の知れないものに怖がっている、その表情。
目も合わせず、静かな口調。
いつもとは別人のようなルフィに
ミドリは少しでも力になれることがあれば、と
手を強く握り直し、意を決して聞いた。
「どんなことなの?知りたい。教えて。」
真剣なミドリに
ルフィも心を決めて、正直に話し始めた。
「お前の体、いろんなとこ触った。」
「………」
”変なこと”ってそういうことか、と
ミドリは驚いて言葉を失う。
「キスっつーんだろ?それもした。お前苦しそうだったけど、止まらなくてよ。それから、服も脱がせた。」
「………」
「それ以上はダメだ。言いたくねェ。」
ルフィにいろんなとこ触られて
苦しくなるようなキスをされて、服を……
そして、それ以上……
想像して、みるみる顔は真っ赤になり
ミドリの思考は停止する。
自分が見た夢よりも、遥かに刺激的すぎた。
ルフィは力の抜けたその手から自分の手を外す。
「な?おかしいだろ、おれ。そんな夢見るなんてよ。だからミドリがおれに近づくのはダメだ。」
その場を離れるルフィの足音に
我に返ったミドリは、追いかけて赤い服を掴む。
「無理だよ。」
「あ?」
「ダメって言われても無理!」
「船長命令だぞ!ちゃんと聞け!!」
ルフィは振り返り、声を荒げた。
その拍子に、赤い服からミドリの手が離れる。
「聞けない!こうして一緒に旅してるのに、船長に近付かないなんて無理に決まってる!絶対に無理!!」
「ムリとか言うな!!おれのほうがムリなんだからな!!」
ミドリが反発すれば
負けず嫌いなルフィは必ず言い返してくる。
ケンカをすることで
いつものルフィが戻ってきている。
それが嬉しくて
ミドリは声を張ることをやめなかった。
「私は大丈夫だもん!」
「だからよ!おれが大丈夫じゃねェんだ!」
「夢とは違う!ルフィが何かしてきても、嫌だったら『嫌』って言う!『やめて』ってちゃんと言うから!」
「それでもな!おれがすぐやめてやれると思うなよ!!」
「言えばきっと、ルフィはやめてくれる。それに、そばには止めてくれる仲間もいる!絶対、大丈夫!!だからっ……」
「……っ」
正面で向き合っていたミドリの瞳から
ボロっと一粒涙が溢れる。
「そばに来るな、なんて…言わないでよっ……」
自分でも思いもよらなかった涙に
思わず口元を手で押さえた。
「ごめんっ…あぁ、もう!泣くはずじゃなかったのに……」
指で乱暴に目を擦るも
止めようとすればするほど溢れてくる涙に
ミドリは諦めてハンカチを出し、顔を覆った。
「ルフィに避けられたのが、悲しかったのっ!」
そう、自分で思っているより、相当辛かった。
それがこの、止まらない涙の理由。