ある日の昼寝から
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ナミの予想どおり、翌日の昼に次の島に到着した。
海岸のその先は、猛獣たちの声が聞こえてきそうな
草木の生い茂ったジャングルの島。
「ちょっと!ルフィ!!もう!!」
ナミが叫ぶ。
船を止める場所を探している間に
ルフィが一目散に船から飛び出して
ジャングルへ入って行ってしまった。
「早いですねールフィさん。」
「あいつは少しは待てねェのかよ!」
「ほんとジッとしていられないのよね。」
「おーい!碇下ろすぞー!」
あまり気にしない仲間たちをよそに
ミドリはなぜかこのとき不安に思い
気付けば甲板から飛び降りていた。
「ちょっとミドリ!あんたまで何!?」
「ごめん!私も行ってくる!」
「ミドリちゃん!ひとりじゃ危ねェ!」
「ルフィと合流するから!心配しないで!!」
皆が制する声も聞かず、ただひたすらに走った。
ルフィが通った跡は、とてもわかりやすかった。
木々が倒れていたり、岩が破壊されているところを
辿っていくと、真っ直ぐ先へと続いていたから。
——ドンッッ
ズドーーーーン
バサバサバサッッ
真正面の森の奥の方から大きな音がする。
ルフィだ。
近づくほど、大きな音とともに
微かな地面の揺れも感じる。
音がうるさい方へ、揺れが大きい方へと急ぐと
高い壁の前にルフィの背中が見えた。
その周りには、倒れた木や
砕かれた壁の瓦礫が散乱していて
中心にいる本人には思うように近付けない。
「ルフィ!!」
ミドリの存在に気付いているはずだし
声もきっと聞こえたはず。
それでも壁を殴るルフィの腕は止まらなかった。
このままでは、島ひとつ消しかねない。
「ルフィ!!やめて!!島が壊れちゃう!!!」
先ほどよりも大きな声を出すと
ルフィがこちらへ振り向いた。
「はァ…はァ…ミドリ……」
体は泥だらけで、汗も流し、肩で息をしている。
足元の瓦礫を乗り越え、ルフィのそばへ向かった。
「っ…だからお前、おれのそばにっ——」
ミドリが目の前まで来ると
ルフィは焦って離れようとするが
すぐ後ろは壁があり、それ以上は下がれない。
ミドリの両手に右手を掴まれてしまった。
「私のことが嫌なのはわかってるよ!でも、こんなことして…放っておけない!!」
「………」
ルフィは離れることを諦めた。
握られている自分の手を見る。
そのまま手首、腕へと辿るように顔を上げ
ミドリの目を見据えた。
ミドリの方も真っ直ぐにルフィを見上げる。
怒っているようにも、悔やんでいるようにも
焦っているようにも見えるルフィの瞳。
こんな表情のルフィは初めてだった。
「……何か……苦しいの?」
そう聞くミドリの声の方が苦しそうだった。
ルフィは大きく息を吸って、それを深く吐き
一度だけ頷くと、そのまま視線を足下に落とした。
「おれ、おかしくなっちまった……」
冷静になって、静かに話し始めた。
「変な夢、見るんだ。」
「夢?」
「お前の夢。」
ドキッとした。
ミドリは、あの日見た夢を思い出した。
ルフィに抱き締められる夢。
……まさか、お互いにお互いの夢を?