ある日の昼寝から
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「きれいなところねー!!」
「ずいぶん広そうだな!」
「一面草原だなんて、珍しい島ですねー!」
「何も無ェし、誰もいねェな。」
「食材も期待できねェな、こりゃ。」
ある島に到着したサニー号。
最近の平穏は、この島の気候海域であったせいか
と、クルーたちは納得した。
「ミドリ!来いよ!」
甲板を飛び降りたルフィにつられて島へ降りる。
差し出された手を握って
何を目指すでもなく、2人で走り出した。
ミドリは繋がった手に目をやる。
こうして繋いだのは初めてだった。
自分のよりも大きくて
握り締めてくる強さに、ドキドキした。
たくさん走って、たくさん笑い合った。
手を引かれるままに、いくら走り回っても
不思議と疲れを感じなかった。
ただひたすらに楽しく、気持ちがいい。
ルフィがふざけて芝生に寝転がり
ミドリも隣に転がった。
視線を合わせて、笑い合う。
握られたままの手に力が込められる。
ルフィは体を起こすと、寝返りを打つように
いきなりミドリへと覆い被さった。
顔の両側に肘をついて真っ直ぐに見下ろす。
その表情は笑顔ではなくなっていた。
「ルフィ?」
急に空気が変わって、不安げに名前を呼ぶと
顔の横にあったはずの手はミドリの頭を撫で
するすると下がり、背中まできて止まる。
そのままルフィは体を密着させ
思い切り抱き締めた。
「ミドリ……」
ルフィの体の重みを全身に感じる。
珍しい低い声が耳元に響き、顔が熱くなってくる。
ルフィの顔がだんだんと近づいてきた。
「ちょっ、ルフィっ……」
「ミドリ……」
もう、あと数ミリで唇と唇が触れてしまう。
・
・
・
「ルフィ!!ダメ!!!」
自分の大声に体がこわばって目を開ける。
そこは変わらず、芝生甲板の上。
一面広がる青空に
先ほどより少し位置が変わった太陽。
雲はひとつもなくなっていた。
夢だった!と気がついた。
まだ少しドキドキするのと同時に
現実ではなかったことにホッとして胸を撫でる。
「「あっはっはっは!」」
後ろから笑い声が聞こえ、咄嗟に起き上がる。
振り返ると、ブランコに乗るチョッパーと
その背中を押すウソップが笑っていた。
「ミドリお前、何寝ぼけてんだ?」
「ルフィにダメだって言ってたぞ。」
しっかり聞かれていたことに恥ずかしくなり
ミドリは乱れた髪を直しながら
必死で言い訳を考えた。
「えっと…よく覚えてないんだけど……夢でルフィにお肉を取られそうになって…」
「なるほどなァ、それでか。」
「ルフィはいつもミドリのメシ狙ってるもんな!」
2人は納得して、その後もしばらく笑っていた。
それよりも、ルフィとのあんな夢を見るなんて
恥ずかしすぎる。
もう少しで、キスしてしまうところだった。
夢の内容はしっかりと覚えていて
触れられた手の感触は不思議なほどリアルで
ミドリの胸はまだ少しドキドキしていた。
「あれ?そういえばルフィは?」
「あ?おれらが来た時には見なかったぞ。」
「そっか。」
この場にルフィがいないことに少しホッとした。
あんな夢の後で、本人に
どんな顔をしたらいいのかわからなかったから。
きっと隣で眠ったりしたから
変な夢見ちゃったんだ…
ミドリは熱くなった顔をどうにかしようと
その場を離れた。