愛すべき人 〜幸せになる時〜
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「なァ、もう一回。」
もう勘弁してほしい。
その気持ちを訴えるように、今度は目を逸らし
半分ヤケになりながらもう一度名前を呼んだ。
「ルフィ。」
瞬間、腕を引かれ
彼の胸へと抱き寄せられる。
何が起こったのか、わからなかった。
背中に回された腕に強い力がこもる。
そういえば、前にもこうやって
抱き締められたことがあった。
でもその時とは明らかに違う
ルフィの速い鼓動が伝わってくる。
「……ルフィ?」
ルフィがわからない。
「……離して?」
こんなことされてしまったら、バカな私は
また勘違いしそうになってしまう。
「離してってば。」
力いっぱい、ルフィの胸を押して離れた。
「あ、あァ、悪い…何してんだ、おれ。」
ルフィも自分がしたことに戸惑っているようで
気まずい空気が流れる。
「ミドリちゃ〜ん!ルフィのヤツ見つかったか!?」
私が戻ってこないからか、下からサンジくんの声が聞こえて、私たちは我に帰った。
「ここにいるよ!今行く!」
顔を出して、サンジくんに返事をして
「変なことして悪かった。飯食おう!」
いつもの調子に戻ったルフィと
ダイニングへ向かった。
ーーーーーーー
「何かあった?」
その日の昼下がり。
アクアリウムバーで本を読みながら紅茶を飲んでいると、ナミが正面に座った。
ルフィとのこと、考えないようにしていたけど
浮かない顔をしていたみたい。
いっそのこと
誰かに相談してみるのもいいかもしれない。
「……ルフィのことが、わからなくて…」
「あいつのことなら、理解しようと考えるだけ無駄よ。」
「ナミは、ルフィに抱き締められたことある?」
「抱き締められたの?ルフィに?」
「……さっき。」
「なぁに、あんた達やっぱりそういう仲なの?」
「ち、違うの!私の一方的なものっていうか…それももう、やめようと思ってたんだけど…えっと……」
「はぁん。その気もないあいつに抱き締められて困ってるってことね。」
「ルフィは誰にでもそういうことをする人なのかな、と思って…」
ナミは一口コーヒーを飲んで
思い出すように考えていた。
「まぁ抱き締められるって言うよりは、仲間うちのハグみたいなものよ。その場のノリでね。」
「その場のノリ……」
「ミドリには違ったんでしょ?」
「うーん…どうなんだろ……」
「あんたが何かを感じてるなら、きっとそうなのよ。あいつ自身、自分で気付いてないと思う。あんたへの特別な感情に。タチ悪いけどね、そういうヤツなのよ。」
「私どうしたら……」
「好きなようにしたらいいじゃない。好きでいたいならそうすればいい。ルフィのため、とか考えないで、やりたいように行動すればいいのよ。あとはあいつがどうにかするから。」
「やりたいように……」
「意外と懐深いのよ?うちの船長。」
「そっか…そうだね。ありがと。」
ナミの言う通りだ。
ルフィにその気がなかったとしても
諦める必要なんかない。
私の正直な気持ちは
やっぱり好き。
好きでいたい。
私の好きな人はルフィしかいない。