愛すべき人 〜幸せになる時〜
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宴の途中、初めての海に疲れが出たのか
私は一番に眠くなってしまい
先に休ませてもらった。
フランキーさんがあっという間に
作ってくれたベッドは、ぐっすりと眠れた。
「…ミドリ。おい、ミドリ。」
名前を呼ばれて目を開けると
目の前にルフィさんの顔。
「ん……えっ…ルフィさん!?」
「でけェ声出すな!」
私の口を塞ぎながら、私よりも大きな声でそう言い
ヤベ、とルフィさんはナミとロビンの方を見る。
「女部屋入ると怒られんだ。」
お酒が入っているせいか、ぐっすりと眠る
2人に安心し、笑顔を見せた。
「ちょっと来いよ。」
ベッドから起き上がり、寝癖があるんじゃないかと
慌てて髪を手ぐしで整える。
寝顔を見られてしまったのもショックだし
だいたい今の寝起きの顔も大丈夫だろうか。
鏡を見たいけど、ドアのところから
早くしろ、と小声で急かされ
仕方なくルフィさんの後を追った。
辺りはまだ暗い。
皆寝静まっている静かな船の上
私とルフィさんの足音が微かに響く。
やってきたのは後甲板。
「おれ不寝番だったんだけどよ、ミドリにも見せてやろうと思って。」
「何をですか?」
「まァ待ってろ。」
柵に手をつき、遠くへ目をやるルフィさんを真似て
彼の隣で同じ方向を見つめる。
宴のときは皆と順番に話をしたけど
そういえばルフィさんとはあまり話さなかった。
いきなり訪れた2人きりの空間に
なんだか緊張する。
——と、真っ暗だった目の前の景色に
だんだんと空と海の境目が見えてくる。
少しずつ空は明るみ始め
海は波に合わせてユラユラと光が動く。
「……これ…」
「あァ、朝日だ。あんな街中にずっといたんじゃ見たことねェと思ってよ。」
「はい…初めて見ました。きれい……」
みるみるうちに大きな太陽が顔を出し
空と海を照らしていく。
その美しさに、言葉が出なかった。
こんな景色があるなんて、知らなかった。
ルフィさんが見せてくれた。
「ミドリなら喜ぶだろうと思ってよ。起こしたかいがあった。」
嬉しそうに笑うルフィさんの横顔。
太陽が似合うその表情は
朝日に照らされて、より凛々しく見えた。
ときめいちゃダメ。
ドキドキしちゃダメ。
もうこれ以上、好きになっちゃダメ。
自分にそう言い聞かせながら
登る朝日に私の人生を見ていた。
少しずつ世界を照らしていく様が
私の新しい人生の始まりに重なる。
これから、この朝日のように
眩しいほどに輝く毎日を送れますように。
ルフィさんの隣で、そう願った。