愛すべき人 〜幸せになる時〜
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「ここが女部屋。好きに使って。今フランキーがミドリのベッド作ってくれてるから。」
「ありがとう。」
女部屋で荷解きを済ませ
そのままナミとロビンに船内を一通り案内してもらっている時、楽しそうにロビンが言った。
「それにしてもミドリは、相当ルフィに気に入られたのね。」
「え?」
「本当は今朝早く島を出るつもりだったのに、珍しくあいつが渋ってね。」
「ミドリを探してくるって聞かなかったのよ。」
「そうなんだ…ごめんなさい、迷惑かけて。」
「いつものことだし気にしないで。それに堅苦しい敬語はやめましょ?」
「……うん。ありがとう。」
喋りやすく、親切な2人。
それに綺麗な顔立ちでスタイルも抜群。
船に女性がいてすごく安心する。
でも同時に、ルフィさんはこんな美女2人と
ずっと旅をしてきたんだ…と
心にモヤモヤとした黒いものが広がった。
「……ダイエットしよ…」
「ん?何か言った?」
「ううん、何でもない!」
「おーい!宴の準備ができたぞ!」
「すぐ行くわ!」
私たちの元へチョッパーが呼びに来てくれて
そのまま甲板で宴が始まった。
私の歓迎会を開いてくれたのだ。
陽が暮れ始める大海原の船の上で
皆の笑い声が響き渡る。
こんなに楽しいお酒の席は初めてだった。
皆にこれまでのことを話した。
レストランで働きながら恋人と暮らしていたこと。
働かない恋人のため、夜の仕事もしていたこと。
そんな中、ルフィさんと出会ったこと。
恋人に裏切られたこと。
ルフィさんが助け出してくれたこと。
「私、ルフィさんに連れ出してもらえて、皆の仲間にしてもらえて、すごく嬉しい。迷惑かけるかもしれないけど、よろしくお願いします。」
改めて頭を下げた。
「だから真面目すぎんだって。」
「気楽にいこうぜ、ミドリちゃん。」
「会ったばっかだけど、おれミドリ好きだぞ。」
「ありがとう、チョッパー。」
賑やかな皆の中心で
楽しそうにルフィさんが笑っている。
きっとずっとこうやって
仲間たちと旅をしてきたんだろう。
その輪の中に入れてもらえた嬉しさで
胸がいっぱいになった。
——おれのそばにいろよ。
あの言葉が頭に響く。
ルフィさんにそう言われた時
もしかしたら彼も私のことを、なんて頭をよぎって
気持ちが舞い上がった。
でも船に来てわかった。
私はルフィさんの特別なわけじゃないこと。
むしろ、この船に来たばかりの私なんて
皆に比べたら、まだまだ浅い関係で
一瞬でも、両思いかも、なんて考えてしまった
自分が恥ずかしい。
ルフィさんが好き。
たぶん、初めて会った時から。
でも、その気持ちはきっと
胸の奥にしまっておかなくてはいけない気がする。
仲間たちとの絆を前にして
芽生えたばかりの私の想いなんて
押し付けることはできない。
大丈夫。まだ引き返せる。
これまでの人生を考えたら、ルフィさんの
そばにいられるだけで、十分幸せだもの。