彼の場合は
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「嘘でしょ!!」
次の日のお昼前。
ある島に着いたサニー号に私の絶叫が響いた。
その島は見るからに奥深いジャングルで
今にも猛獣の声が聞こえてきそう。
すぐに冒険に行きたいと騒ぐルフィを
ひとりで行かせるわけにはいかないので
いつものようにくじを引いて
一緒に行くクルーを決めたのだけど…
「ルフィのお供くじ、なんで今日は当たりがひとつだけなの!?」
そのひとつしかない当たりを引いてしまった私。
くじを作ったナミはなんだかニヤついてる。
……仕組まれた予感がする。
「しっかりおれについてこいよ!ミドリ!」
海賊弁当の入ったリュックを背負いながら
ルフィはとても嬉しそうで
拒否することもできない私は仕方なく船を降りる。
「安全な島だとわかったら、私たちも追いかけるから!」
「ルフィ!ミドリちゃんに怪我でもさせたら蹴っ飛ばすからな!」
「心配すんな!弁当ありがとう!」
「皆も早く来てね!絶対だからね!」
イキイキが止まらないルフィに
半ば強引に船から連れ出される。
一歩森に入れば、生い茂った木々に光を遮られ
昼だと言うのに薄暗い。
ルフィが一緒だから大丈夫だろうけど
それでもいつ猛獣が飛び出してくるか
わからない状況に気が気ではなく
必死でルフィの背中を追いかけて歩く。
このタイミングで2人きりになってしまうなんて
ルフィを異性として意識し始めてしまった
私には辛い。
少し前を歩く彼が、なんだか今までより大きく
たくましく感じられて。
昨日頭を撫でられた掌が
目の前で揺れているのを見て、顔が熱くなった。
誤魔化すようにブンブンと顔を振る。
これはもう意識するどころか、私はすでに……
そんなことを考えながら歩いていて気が付いた。
私たちが通っているところは他に比べると
草木が少なく歩きやすくなっている。
獣道のように頻繁に何かが通っているのか
あるいは意図的に整備されているのか。
無人島なのかと思ったけど、もしかしたら
近くに人が住んでいるかもしれない。
ーーーーーーー
「な〜んも出てこねェなァ〜」
しばらく歩いたところで
ルフィがつまらなそうに呟いた後
思い立ったようにニッと笑った。
「弁当食うか!」
「もう?」
「いいじゃねェか!腹減った!」
「まぁ確かにお腹は空いてきたけど…」
そんなことを言っていると、ちょうど
木々の少ない開けた場所にたどり着く。
そこだけお日様の光が注ぎ、ポカポカと暖かい。
そこに座り込んだルフィがお弁当を食べ始めたので
私も隣に座ってお弁当を出す。
「うん!サンジくんのご飯はこんな森の中でもやっぱり美味しいね。」
「当たり前だろ!」
「……ねェルフィ。この島、人がいるのかな?」
「あァ、いるな。」
そうか。ルフィにはわかるんだ。
だったら早く教えてくれればいいのに。
「まァ大丈夫だろ。」
「そっか。」
危険な気配はしないという意味だろうか。
ルフィに言われると
本当に大丈夫と思えるから不思議。