愛すべき人
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「……はぁ…」
安心したら急に全身の力が抜けて
その場に座り込みそうになるのを
ルフィさんが咄嗟に支えてくれた。
「なんなんだ?コイツら。」
「……私の彼がこの人たちに私を売ったんです…」
もう、見栄を張るのはやめる。
「ルフィさん、私あなたに嘘ついてました。」
「………」
「本当は全然…幸せじゃないっ。」
涙が溢れて
思わず私は、ルフィさんの服を掴んだ。
「最初は本当に彼のことが好きだったし
彼も好きだと言ってくれたのに……
いつの間にか私は利用されてただけだった。」
嗚咽が漏れて、うまく話せない。
「お金を稼いで、身の回りのことをやれば
っ…そばにいさせてくれるから…
ひとりぼっちになるよりはマシって…
離れられなかったんです……」
ルフィさんは何も言わずに聞いていた。
「こんな弱い自分、もう嫌です……」
痺れを切らしたように
ルフィさんは私の両肩を強く掴み
「お前な!!だったら助けてって言え!!」
あの真っ直ぐな瞳で私を見つめて怒鳴った。
「幸せだなんて言われちまったら
助けたくても助けらんねェだろ!!
あんな泣きそうな顔してたくせに!!」
こんなにも自分のことのように真剣になって
私に怒ってくれる人が
他にいるだろうか。
「お前は腹減って死にそうだったおれを
助けてくれたじゃねェか!
おれだってお前を助けたいんだ!!」
頭を抱き寄せられる。
力強い腕。
でもどこか優しさも感じられる。
こんな温もりは初めて。
「おれがお前を自由にする。」
「…うっ……」
胸がいっぱいで、何も言えなかった。
「おれと来い。」
ずっと、欲しかった言葉を
「金なんかくれなくてもよ
何もしてくれなくてもいい。」
全部、ルフィさんがくれた。
「おれのそばにいろよ。」
ーーーーーーー
毎日が苦しかった。
誰からも必要とされず
生きていくことの意味を見出せないまま。
そんな生活から、私は救い出された。
まさか自分が海へ出ることになるなんて。
この船の上で、生まれ変わったように
私の新しい毎日が始まる。
「ミドリ。」
「ん?」
「今、幸せか?」
「はい!」
「よし!嘘じゃねェな。」
隣で笑う
愛すべき、彼のそばで。
…fin