愛すべき人
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「一緒に来てもらうぜ。」
急に腕を掴まれる。
「やめて!離してください!何なんですか!?」
「お前の男から、好きにしていいと言われてんだよ。」
「えっ…そんなっ……」
「もう金も渡してあるんだ。抵抗できないぜ?」
目の前が真っ白になった。
いつかまた優しい彼に戻ってくれるかも…なんて
本当に夢のまた夢だった。
彼が私を売った。
抵抗する気力もなくなった。
涙が止まらない。
悲しくて、悔しくて、惨めで、情けなくて。
「ひでェ男だよな!自分の女売るなんて。」
「まァお陰で俺たちゃいい思いできるけどよ。」
「違いねェ!」
ゲラゲラと下品に笑う男達の話し声が
遠くに聞こえる。
いつの間にか人通りのない裏路地に連れて来られ
ここは雑居ビルの前。
この人たちのアジトか何かだろう。
中に入れば、もう逃げる事はできない。
「いや!!」
男達の不意をついて
掴まれていた腕から逃げ出した。
「あ!この!!」
「この後に及んで抵抗してんじゃねェ!!」
全力で走ったつもりだったのに
すぐに追い付かれてまた捕まる。
どうあがいても、逃げられないんだ。
——その時
「お!ミドリ〜!ここにいたのか!!」
この場所に似つかわしくない明るい声が響いた。
「ルフィさん…」
「ルフィ?」
「誰だ?」
都合のいい夢でも見ているんだろうか。
自分の目を疑ったけど、それは確かに彼で。
あぁ、もう大丈夫。そう思った。
ルフィさんは走って近付いてきたかと思えば
この状況を見てすぐに笑顔が消える。
「ミドリに何してんだ、お前ら。」
「うるせェ。てめェには関係ないだろ。」
「嫌がってるじゃねェか。離せ。」
「離すわけ——」
「離せって言ってるだろォ!!」
一撃だった。
鈍い音が響くと同時に一人の男が地面に倒れ
もう一人もすぐに殴り倒された。
2人とも、気を失ってピクリともしない。