愛すべき人
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毎日が苦しかった。
「ここに住まわせてやってんだ。有り難く思え。」
誰からも必要とされず
「うるせェ!俺に口答えするな!」
生きていくことの意味を見出せないまま。
「てめェの代わりなんていくらでもいるんだ。
俺と居たけりゃ金を稼いでこい。」
ただ彼のそばにいる。
「ごめんなさい。
働くから、ここにいさせてください。」
「いい子だ。そうやってお前は俺のために
金を運んでくればいいんだ。」
気まぐれで抱き締められても
「愛してるぜ、ミドリ。」
愛の囁きも
全て嘘だって、ずっと前からわかってる。
彼はもう、私を愛していない。
〜愛すべき人〜
「あ、あの…大丈夫ですか?」
レストランでの仕事帰り
道端で座り込んでいる男の人を見つけた。
頭には麦わら帽子、素足にサンダル
ノースリーブに短パン。
なんてラフな格好だろう。
通り過ぎる人達も皆、見て見ぬフリをしていくけど
なぜか私は放っておけなくて、そばへ駆け寄った。
「腹減ったァ……」
どこかで見たことのある顔だった。
必死に記憶を探るけど、思い出すことはできず
それよりも今はどうにかしてあげないと、と
肩を貸して彼を立ち上がらせた。
「すぐそこに私の働くレストランがあるので
そこでご馳走します。」
「いいのか!?お前いいヤツだなァ!」
”レストラン”という言葉を出した途端
彼の表情は明るくなり、満面の笑顔になった。
出会ったばかりの見ず知らずの男の人だけど
悪い人には見えないし、大丈夫だろう。
私はそのまま彼をレストランまで連れて行った。